更新日:
2022年10月27日(木)

【ごあいさつ③】SCOPが叶えたい、創業支援。

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SCOP TOYAMA(以下 SCOP)は、2017年の建築甲子園で全国優勝した富山工業高校生のプランがベースとなった全国でも珍しい職住一体の施設です。プロジェクトの発足当初から話題と注目を集めてきたSCOPが、いよいよ2022年10月28日にオープンします。
今回は、SCOPが取り組んでいく創業支援について plan-A TOYAMA合同会社の相澤さんと田中さん、富山県庁創業・ベンチャー課の山本さんの3名にお話しを伺いました。
SCOP TOYAMA
左から相澤さん、田中さん、山本さん

ー富山における創業の風土について、印象を教えてください。


相澤:北陸は保守的だと耳にしていたのですが、私は富山で保守的なイメージは感じられなかったです。変わらないといけないなという意識はあるけど、どうしたらいいのかを知る機会が少ないのかもしれないですね。自分たちの生活を大きく変えなくとも、少しずつポジティブに開拓して選択肢を広げていく余地がたくさんあるなと思います。

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合同会社plan-A TOYAMA代表 相澤毅
大手生活ブランド勤務を経て前職ではデベロッパーにて社長室に所属し不動産開発から海外事業におけるスキーム構築・広報P R・販売戦略・広告クリエイティブ・ブランディング・新規事業企画・商品開発・人材育成制度構築・産学連携など手がけ、2018年5月に独立起業。現在は不動産事業者や大手家電メーカーのコンサル、企業の事業開発参画、不動産開発事業、場のプロデュース、拠点運営、自治体とのまちづくりや創業支援、企業の取締役や顧問、NPO法人の理事等を手がけ、多様な働き方を実践している。

山本:“創業”という選択肢がなかなか挙がってこない地域性があると思っています。富山は製造業や製薬業が地域の経済を支えてきたという歴史があり、有効求人倍率が全国平均よりも高くなっています。安定した雇用があり卒業したら就職することが一般的で、起業するという選択や新しいことをしようという考え方にあまり馴染みがないのかなと感じています。

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富山県創業・ベンチャー課 山本航大
富山県富山市生まれ。東京で民間企業に7年勤務したのち、今後の暮らし方を考え富山にUターン。2021年より富山県庁に入庁し、創業・ベンチャー課で起業支援事業に従事する。同時に公民連携を学びつつ、有志と共にとやま都市経営実行委員会を設立して、県庁前公園で「ケンチョウマルシェ」を開催。

相澤:富山はとても安定している印象があります。地域のリサーチを重ねている中でやはり製造業が強みだということが顕著に分かりました。しかし、安定しているけれども柔軟ではないという印象です。製造業は大きな拠点を構えているだけに、万が一の事態で拠点を撤退せざるを得なくなったときに企業に紐づいたエリアの雇用が失われがちという事例も日本各地で起こっています。雇用に困る人たちが多く現れるということは、地域の経済にとって大きなダメージになりますよね。平和で安定しているうちに第二、第三の自分の人生のレールをひとりひとりがイメージできるようになるといいなと思います。


田中:“創業”という言葉は、人によっていろんなイメージがあると思うんですよね。例えば「まだ世の中にない新たなサービスを生み出す」とか、「大きな事業を興して世界へ羽ばたく」など、何か大きなことを成し遂げることを想像する方もいるかもしれません。もちろんそれもすごいことですが、例えば「何か自分ができることで人を助ける、喜んでもらう」というのも立派な創業の一つだと思います。どんな規模の創業であっても、大切なことは「まず一歩を踏み出すこと」そして「継続していくこと」。大きな事業でも意外と最初はひとりで始まっていたりもしますし、一歩踏み出し、色々あっても継続することで少しずつ成果が生まれていく。そのためにもまずは”創業”というものに触れる機会を増やし、「自分でもできるかも!」と思ってもらえる機会を提供できたら嬉しいです。SCOPを通して創業へのイメージの解像度を高めていきたいですね。

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合同会社plan-A TOYAMA 田中優子
飲食業、ホテル等のサービス業を経て不動産デベロッパーに転職。営業、市場調査、マーケティング、商品企画、ブランディング、PR、新規事業など一連の業務に携わり2021年1月に独立。会社員時代から個人向けのサポート事業を複数創業した経験を持つ。現在は東京を拠点に複数のチームに属し事業伴走を行うかたわら、ビジネスパーソン向けスクールの立ち上げ、企画、運営等にも携わる。子育てや会社員をしながら個として活動する経験をもとに、セカンドキャリアの支援も行っている。

ーSCOPの創業支援センターはどんな場所ですか?


相澤:SCOPの創業支援センターには、いろんな事業の規模の人たちが交流できて刺激を受け合える環境が備わっています。3階のセミオープンのシェアオフィスは、コミュニケーションをとりながら仕事をしたいという人たちが入居するイメージです。事業をつくりあげていくときは、ひとりよりも誰かがいてくれる空気感があるだけでも支えられるんですよね。事業規模が大きくなって人数が増えれば、4階の個室オフィスを借りるといったように施設内でステップアップしていけます。1階には共用のダイニングキッチンがあります。一区切りついたときに気分転換にキッチンに来て挨拶を交わしたり会話を楽しんだり、キッチンが交流を誘発するための鍵になると思っています。


田中:オフィスの入居だけでなく、チャレンジショップを利用してみたり、セミナーを開催してみたり。小さく試せるチャンスがSCOPには備わっています。いまは明確ではなかったとしても、コワーキングスペースの利用やイベントに参加していくうちに、自分のやりたいことが見つかる人もいるかもしれません。そういう関わりのなかで、創業し、事業を続けていく人が一人でも増えたらいいなと思います。また、自分が創業しなくても、SCOPで出会った志のある人たちを応援する側になっていくという関係性も生まれたら嬉しいですね。共に創業を応援する文化を築き上げていきたいです。

SCOP TOYAMA

ー創業支援はどのように取り組んでいくのですか?


田中:何か新しいことを始めたいと思ったときの入口となるような支援を行っていきます。SCOPに全ての創業支援サービスが備わっているわけではなく、また県内にはすでにいくつかの創業支援サービスがあります。SCOPが窓口となってご紹介したり、一緒にワークショップを開催したりという連携を定期的に続けていきたいと考えています。


山本:連携ができていないまま県内に創業支援の窓口がたくさん見えすぎて、結果的にうまく情報を得られないということが起きてしまってはもったいないですよね。県内各地の創業支援サービスを、SCOPがハブの役割を担って届けられるようにしていきたいです。


相澤:着実にプロジェクトを進めていくことで、県内外からいろんな人たちに足を運んでもらえる施設になっていくと思います。時間はかかるけれども、絶対に良い施設になっていく確信があります。


田中:拠点があっても人が関わらないことには何のアクションも起こりません。人と人が交わることで新しい何かが見つかる“小さな火種”を生み出せる機会づくりを、私たちが応援していきたいです。今すぐアクションを起こす人はもちろん、いつかは創業をしてみたいという方にも、ライフステージのどこかで創業するという選択肢もあるということに気づいてもらえたら嬉しいです。

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ーSCOPをどんな場所にしていきたいですか?


相澤:SCOPと東京の創業支援施設が根本的に違うのは「暮らし」がある場所だということです。熱量が集まる場所というよりも、居心地が良い場所にすることが最優先になると思っています。穏やかなモチベーションを維持できる環境をつくっていきたいです。そして、暮らしや仕事の選択肢を用意できる環境が、SCOPの未来にあったらいいなと思います。


田中:「富山は創業のロードマップがとてもわかりやすい!」と感じてもらえるような拠点になっていけるといいですね。創業している人だけでなく、創業を応援している人もどんどん紹介するような発信を考えていますが、このような取り組みが誰かにとっての“気づきの種”になると嬉しいです。


相澤:創業する人にばかり光が当たり続けていて、応援する側の人たちが疲弊していってしまうとサスティナブルではないですよね。そのうちにどちらも息切れをしてしまっては、誰も幸せになれません。応援する側の人たちにも光を当てて継続的に関わっていけるような環境をつくっていくことがみんなの幸せに繋がるのではないかと思います。

SCOP TOYAMA

3部作にわたって運営のみなさんの想いをお伝えしました。

暮らしと仕事の選択肢の幅が広がる“気づきの種”が、SCOPを拠点に富山全体へと少しずつ芽吹いていきますように。

創業応援プロジェクトBiz Hike in富山はこちら


文:徳田琴絵(富山オタクことちゃん)

写真:北條巧磨