更新日:
2023年1月13日(金)

先輩創業者に聴く!【創業ライブラリー】〜vol.1 株式会社IMATO 東海勝久さん

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こんにちは!SCOP TOYAMA/創業応援プロジェクトBizHikeナビゲーターの田中です。

創業応援プロジェクトBizHike(ビズハイク)は、

創業を志し実践する人たちが、その道を「ひとりにならず、みんなで歩む」ことができる環境

を提供すべく誕生しました。

※BizHikeって何?という方はこちらをご覧ください

創業経験者のリアルストーリーを読める記事コンテンツ「創業ライブラリー」。出演してくださっている方は、自らもチャレンジの最中でありながら、その経験を惜しみなく「シェア」してくださる方々です。様々なストーリーに触れることで、視野を広げ、歩みを進める勇気を得られるようなコンテンツになればと願っています。


創業には、さまざまなカタチがあります。最も大切なことは、継続していくこと。
創業の最初の一歩目から現在まで、どのように事業を継続してきたのか。県内の先輩創業者ひとりひとりの創業のカタチに触れていきましょう!
今回ご紹介するのは、射水市で鮮魚干物の販売や観光船を運営する株式会社IMATO 代表取締役の東海さんです。
東海 勝久(とうかい かつひさ)さん
株式会社IMATO/東海水産 代表
富山県氷見市出身。漁師として29歳で独立。漁業者・魚屋・水産加工業・海上観光事業を営む株式会社IMATOを2018年に創業。
富山湾の新鮮な魚を中心に鮮魚販売と水産加工品などを製造・販売。

Q:現在のお仕事を始めたきっかけは?

A:やりがいと居心地の良さを感じたから。

やりたいことも目標も無かった20歳の頃、知人の紹介でなんとなく漁師の仕事を地元氷見市で始めました。想像以上に漁師の仕事が面白く、やりがいを感じられる居場所だと思えました。一度漁業を離れて他の職業を経験したこともありましたが、やっぱり漁業の世界が居心地が良く、現在拠点にしている新湊で漁師の仕事を再開しました。

Q:創業の一歩目を踏み出した時のことを教えてください。

A:“好き”で事業を興したい!という気持ちが後押ししてくれました。

大好きな漁業にまつわる仕事で事業を興したいと考えるようになり、29歳のときに「東海水産」を創業しました。当時は富山湾で何十年ぶりの新規漁業者として新聞に掲載されるなど、話題になりました。
その後、事業基盤を安定させるために観光船事業や水産加工品の製造を始めようと考え、2018年に株式会社IMATOを立ち上げ、翌年にIMATOの店舗をオープンしました。

IMATOの店舗の様子
「作り手が見える食材を手に取りたい」「自分で魚を捌けるようになりたい」「日持ちする安心安全な魚を食べたい」という地域の人たちのニーズに応えていくうちに、料理教室や独自の技術で製造する干物の販売を始めることになりました。

料理教室の様子

Q:創業をする上で、大変だったことは?どうクリアしましたか?

A:創業の権利すら得られなかったこと。先人の力強い後押しが支えてくれました。

漁師として独立しようとした時、新参者だったので漁業権の取得にとても苦労しました。当時の新湊漁協の組合長が「未来の漁業者を育てるためにも、東海の力になろう」と助けてくれたおかげで、なんとか漁業権を取得することができました。組合長には、日頃から自分が漁業を通して叶えたいことやアイディアを熱心に伝えていました。話を面白がってくれて力強く後押しをしてくれました。とても感謝しています。
東海さんは水揚げされる魚が大好き

Q:最初の販路をどのように見出しましたか?

A:手札の中で新たな価値を見出す努力が実りました。


図書館や本屋で漁業にまつわる書籍をたくさん読んで学び、手札の中で挑む努力をしました。最初に与えられた漁場は、当時の新湊では値が付きにくい魚ばかりが採れる場所でした。しかし、がっかりするのではなく採れる魚をどう売っていくかを考えました。文献で情報を集めていると、地域によって取引価格が変わる魚があることがわかり、自分の網でよく採れるカレイに着目しました。仲買人にどうすれば他の地域でも売れるのかを尋ねると「生きたままのいいものを持ってきて」と話してくれたので、傷のないものだけを水槽に入れて持っていきました。新湊の何倍もの値で取引できるようになりました。

Q:事業を継続していく上で大切にしていることは?

A:若手の見本になる“本物の仕事”をすること。

新鮮でいいものだけを売ることにこだわり、弱っている魚や傷のある魚は必ず省いて売りに出しています。これを続けていくうちに、周りからの評判も上がって取引が増えていきました。カレイは一枚80,000円の値が付くこともありました。2012年からはカレイのブランド化を目指して「万葉かれい®」と名付け、商標登録をしました。徐々に若手の漁師たちもカレイ漁をやりたいと言うようになり、ノウハウを共有して共に研究会を立ち上げ、万葉かれい®の発信を始めました。私にチャンスを与えてくれた組合長のように、若手の見本になれるような仕事をしようと心掛けています。
贈り物にも人気のIMATOの商品

Q:これからどのような展開をしていきたいですか?

A:地域への恩返し。

高岡市・氷見市・射水市に点在する観光価値を繋げられるような取り組みや、若手の事業者さんが集まれるような場づくりを仕掛けていきたいです。現在行っている観光船事業も、連携する地域を広げていきます。私を育ててくれた地域に恩返しをしながら、次の世代の人たちを育てていきたいです。
観光船に乗って射水市の名所“東橋(あずまばし)”へ

Q:これから創業を目指すみなさんへのアドバイスをお願いします!

A:「やってみたい」を実行しよう!

面白いと思ったことにどんどん取り組んでほしいです。本当に好きなことであれば、辛いことがあったとしても我慢ができるし、長続きできます。継続していれば成功体験が訪れると思っています。始めることには早いも遅いも関係ないと思うので、もしやってみたいことを実行できていないのであれば、今からでも始めてみましょう。
「日本のベニス」と呼ばれる美しい内川の景観

株式会社IMATO

〒934-0011 富山県射水市本町3丁目1-6
TEL:0766-82-2226
WEB:https://imato.jp/

ライター徳田琴絵(富山オタクことちゃん)


生まれも育ちも富山。富山が大好きすぎる、自称「富山オタク」。富山市内のインキュベーション施設HATCHのコミュニケーターを担当。フリーランスとして、執筆やファシリテーション、イベント企画を通して富山の魅力を発信している。