- 更新日:
- 2024年7月21日(日)
【創業ライブラリー特別編】創業・事業のリアルストーリー 〜先輩起業家から聴く・学ぶ・ヒントを得る〜 ママスキー 土肥恵里奈さん
- BizHike
- イベントレポート
- インタビュー
- 創業ライブラリー

「創業ライブラリー」は、先輩のリアルストーリーをシェアしていただき、それを見た人の背中を押すような循環を生み出すことを目指すインタビューコンテンツです。
今回の先輩創業者は「株式会社ママスキー」代表取締役社長、土肥恵里奈さん。
現在は正社員も雇用しつつ、全国に100名を超えるママをチームに抱える創業社長ですが、活動開始当初は「創業する」「会社にする」などの野望は全くなかったとのこと。
未就学児を育てる中で自身が困った実体験を元に、「自分が欲しいサービス」を仲間とつくっていきながら、徐々に活動が大きくなり事業としての形を成すまでのリアルなストーリーは、多くの人の参考になると思います。
6月28日に開催したSCOP TOYAMAでのトークイベントでお話しいただいた様子を「創業ライブラリー特別編」としてお届けいたします。
株式会社ママスキー 代表取締役社長
2005年4月から求人広告会社、2008年4月から地元フリーペーパー発行会社にて勤務。その10年間で広告メディアが有料誌となり、フリーペーパーとなり、ウェブ化するまでの変化を現場で体感。2010年に結婚し、翌年に出産。自身の出産経験がきっかけとなり、富山県の子育て世代に情報を届けたい、と2014年よりmamaskyを立ち上げる。2015年夏に退職し、mamaskyを事業化。
子育てと一緒に育つ社会をつくる

2015年創業のママスキーは「子育てと一緒に育つ社会をつくる」をミッションに掲げ、ママスキーに関わるママやパパたちの声をもとに、WEBサイト運営、イベント主催や企画支援、企業の子育て分野にまつわるコミュニティ支援の大きく3つの事業を展開しています。
「全員がもともとは子どもで、必ず大人になります。子育ては全ての人に関わりがあるのです。私たちは子育て“だけ”がより良くなる社会ではなく、子育てと“一緒に育つ”社会をつくりたい。子育てに関わることが、みんなにとっても成長になるということを形にしていきたいと考えています」と土肥さんは言葉を紡ぎます。
また、急速に少子化が進む世の中へのアプローチとして若者に子育てへの前向きな意志を抱いてもらうためにも、子育て中の家族にもっと幸せになろう!人生を楽しもう!選択肢はいっぱいあるよ!と、子育ての楽しさを届けられるような情報発信や企画・コミュニティづくりに取り組んできました。

小さくやってみることで形にしていく
もともとは広告メディアに携わる仕事を10年ほど続けていたという土肥さん。前職の地元フリーペーパー発行会社には新しいことに挑戦する姿勢が評価される風土があり、やりたいことを形にできる環境が大きな価値だったと振り返ります。そんななか、どうしても社内で実現できなかった提案がありました。
「25歳で結婚と妊娠を経験し、子育て世代向けの情報や機会の少なさを実感しました。妊娠中のこと、母親になることへの悩みや不安…相談したいことがたくさんあるのに、どうしたらいいのかわからない。同じような気持ちを抱えている子育て世代に向けて何かしたいという思いが芽生えました。そこで、ママたちの目線で情報発信ができるような事業部を立ち上げたいと社内で提案したのですが、形にすることができませんでした」
当時、起業を考えていなかった土肥さんは勤めながらできることを試そうと「mamasky」と名付けたWEBサイトを自身で制作し、2014年3月から運用をスタートさせました。まずは子連れで行きやすいごはん屋さんの情報を綴り始めました。
2人とも会社員として働きながらのチャレンジでしたが、松本さんが「ママスキーだけで働いていきたい」と務めていた会社を辞めたことがきっかけで、急遽土肥さんも退職を決意。2015年夏、2人でママスキーの事業化への第一歩を踏み出しました。
いざ事業化するとなるとうまくいかないことばかりで、最初は貯金を切り崩しながら続けていたという土肥さん。数ヶ月後、いよいよ事業継続のピンチを迎えた時、富山県が主催する起業未来塾や補助金活用のセミナーなどに積極的に参加し、なんとか事業づくりや認知拡大を前進させることができました。
5年後の2019年には事業が順調に成長。同年のママスキーパーティーの来場者は1万人を突破し、売り上げは前年度の180%を達成。令和に切り替わった同年5月にママスキーは法人化し、県内企業からの出資と業務提携を叶えました。
ピンチでもつながりを絶やさない
さらなる事業拡大を目指し歩み始めて間もない2020年4月、コロナ禍に突入しました。イベントが軒並み中止になり、仕事はゼロに。2016年からママたちの交流拠点として開いていたママスキーハウスもしばらくは閉鎖になりました。「全員在宅ワークに切り替えつつ、ママたちとのコミュニケーションを絶やさないようにしました。オンラインでママスキーハウスを開いたり、交流会をしたり、YouTubeライブをしたり。私たちが唯一持っている強みは、ママたちとの顔の見えるつながりなんです。イベントも売上げも無くなっても、強みだけは無くさないようにしようと心がけていました」
2020年6月、自粛ムードが続くなかではあったものの、勇気を出してママスキーハウスを再開してみました。
「誰も来ないかもしれないけど、私たちは玄関を開けて待ってみました。予想以上にたくさんのママたちが来てくれて、家にこもりっきりでつらかった、ママスキーハウスがあってよかったと声を寄せてくれました」と目を潤ませる土肥さん。

余白で生まれた更なる展望
コロナ禍に生まれた余白時間を活用して、3年後、5年後、10年後のママスキーのビジョンを話し合うことができたのは次の飛躍への大きな一歩になったと振り返る土肥さん。「全国展開をしようと決意しました。これまではただ目の前のことに必死で考えることがなかったんです。全国でやらない限りは、少子化にアクションを起こすなんて叶わないとも思います。全国どこにいても子育てが楽しいと思えて、子育てをする自分が好きだと思える機会や、たくさんの友達に出会える環境をつくっていきます」
2024年1月から全国展開に向けて動き出したママスキーが最も力を入れてるのが「ママスキーキャスト」です。ママスキーキャストとは、サイトの記事制作やクライアント企業との企画支援で力になってもらっている、事業に共感するママたちのことです。2015年の創業時から富山と石川を拠点にママスキーキャストとの事業を続けてきました。
「まずはママスキーのサイトを全国仕様につくりかえました。今は北海道から沖縄までの約100人のママスキーキャストが、それぞれの地域で力を発揮してくれています。全国展開の大きなエネルギーとして助けてもらっています。ママスキーに関わってくれるママたちの子育て経験そのものをキャリアに繋げられるようにしていきたいです」

みんなで遠く、大きく、その先へ
最後に土肥さんのお気に入りの言葉を紹介してもらいました。 『ひとりなら早く行けるけど、みんなとなら遠くまで行ける』
そして、ママスキーをつくった時に私自身が叶えたかったことは、もうほとんど実現できています。だからこそ、これから先は私が会社員時代に会社からチャンスをたくさんもらったのと同じように、スタッフが挑戦したいことを叶えていきたいです」
思い描きたいものが少し大きな世界であれば、仲間がいることが大きな強みと力になる。ママスキーと仲間たちのチャレンジは、さらに大きく広がっていくことでしょう。

株式会社ママスキー
- ■富山本社
- 富山県富山市町村195-4
mamasky house - ■石川オフィス
- 石川県野々市市堀内4-70
mark sports community内 - ■東京オフィス
- 東京都千代田区丸の内2-3-2
郵船ビルディング1階 - WEB ▷ https://mamasky.co.jp
- instagram ▷ @mamasky.official