更新日:
2023年3月27日(月)

【Vol.03】創業ライブラリー ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~ フォトグラファー 大木 賢さん

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こんにちは!SCOP TOYAMA/創業応援プロジェクトBizHikeです。

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創業経験者のリアルストーリーを読める記事コンテンツ「創業ライブラリー」。出演してくださっている方は、自らもチャレンジの最中でありながら、その経験を惜しみなく「シェア」してくださる方々です。様々なストーリーに触れることで、視野を広げ、歩みを進める勇気を得られるようなコンテンツになればと願っています。


【Vol.03】創業ライブラリ ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~

創業には、さまざまなカタチがあります。最も大切なことは、継続していくこと。
創業の最初の一歩目から現在まで、どのように事業を継続してきたのか。県内の先輩創業者ひとりひとりの創業のカタチに触れていきましょう!

今回ご紹介するのは、南砺市井波地域を拠点にフォトグラファーとしてご活躍中の大木さんです。

・大木 賢(おおき けん)さん
大木賢写真事務所
1994年富山県生まれ。2017年金沢大学在学中に大木賢写真事務所を設立し、フリーランスフォトグラファーとして活動。2019年からは南砺市井波地域を拠点に、広告・雑誌撮影のほか、個人の日常風景も撮影する。2022年からは写真技術を活用したCGI(Computer Generated Imagery)制作や、XR(VR/AR)開発にも携わる。

Q:現在のお仕事を始めたきっかけは?


A:写真を通して、大好きな富山の景色を伝えたいから。

幼い頃から、自分のお気に入りを写真に撮り収めてきました。僕にとって、もともとカメラはお気に入りのおもちゃでした。

小学生の頃は電車などの乗り物を撮影したり、中学生の頃は趣味のサイクリングで訪れた先で感動した景色を撮影してブログに掲載したりしていました。写真を見てくれた人たちから反響があることが嬉しくて、「もっと綺麗な写真を撮りたい」と思うようになりました。高校生で念願の一眼レフカメラを手に入れて、ますます写真の沼にハマっていきました。

僕はたくさんの富山の美しい景色を知っているのに、大学時代の富山や石川出身の友人たちが「北陸は何もない」と話す姿が悔しいと感じていました。写真を通して、僕が誇りに思う富山の景色をみんなに伝えたいという想いが大きかったですね。

大木さんが撮影したとなみ平野の景色
富山の風景を綴った特設ページもご覧ください

Q:創業の一歩目を踏み出した時のことを教えてください。


A:2つの出会いが決意に繋がりました。
大学生時代に「自分のやりたいことでプロになろう」と決意した2つの出会いがあり、在学中に開業届を出してフォトグラファーになりました。

「なんとなくのアルバイトで自分の時間を売るよりも、自分が本当にやりたいことに時間を使いなさい」という恩師の言葉が印象的で、大好きな写真に時間を使い、写真を仕事にしていきたいと考えるようになりました。

そして大学在学中にスペインへ留学していた頃、あるイギリス人夫婦と出会いました。たまたま記念写真を撮ってあげたとき、会話の中で僕が「日本で写真を撮っていて、売ることもある」という話をすると、夫婦が「お金を貰って写真を撮っているなら、もう立派なプロだね」と言ってお金を渡してくれました。覚悟を決めてプロと名乗ろうと思えたきっかけとなりました。


1年間のスペイン留学

Q:創業をする上で、大変だったことは?どうクリアしましたか?


A:行動力と周りの人たちの支えで進み続けた。

ご縁も仕事もない状態からの創業だったので、1年目の頃は新店舗オープンのチラシを見つけては飛び込みで営業に行っていました。業界のこともよくわからずに始めたので、今思うと怖いもの知らずですごいなと思いますね。学生という立場も活用して、「勉強中なので最初は無料でもいいから撮らせて欲しい」とまずは実績作りに励みました。

また、事務所を構える上での不安はもちろんありました。2019年に南砺市の井波地域を拠点に決めた当初、何よりも井波で既に活躍している先輩プレイヤーの方や、ご近所のみなさんが心強かったです。「まちに若者が来てくれた!」と喜んでもらえて、あたたかく迎え入れてくれました。自分の活動に共感して応援してくれる地域の人がいてくれるのは嬉しいです。
事務所開設は、自治体の支援制度にとても助けられました。井波は安い家賃で広い家を借りられるし、大きな商圏の金沢や富山からもそれぞれ1時間程でアクセスできる立地という部分が魅力でした。


井波のまちなかに建つ大木賢写真事務所

Q:最初の販路をどのように見出しましたか?


A:仲間づくりのアイディアから繋がったお仕事。

最初のお客さんは、僕が開催していた写真教室からご縁が生まれました。僕は独学で写真の師匠もいません。一人が寂しいので、写真仲間を作るために教室をやってみようと考えました。たまたまご縁があってワークショップに参加してくれていた県内の有名なものづくり企業さんが、僕の作品を見て「工場を撮って欲しい」と依頼をくれました。


ワークショップの様子(写真は2年前のもの)

Q:事業を継続していく上で大切にしていることは?
A:地域との交わり。

一番は地域を大切にしたいです。創業の源泉は郷土愛なので。
せっかく井波を拠点にしているので、井波でしかできないことをやりたいといつも考えています。


バーチャル井波

近年は井波の彫刻家さんとコラボレーションをしてVR上に井波のまちを再現する『バーチャル井波』を開発しています。美術館をはじめとする各店舗では、職人さんの作品が3Dでアーカイブされています。


佛師/木彫刻師の石原良定さんの作品を3DCGモデリング

これまでの井波のまちも、ずっと実験的なまちだったのだと思います。県外から職人さんが集まり、お客さんとの対話を重ねて、より良いものづくりを続けてきました。
自分の価値観を押し付けるのではなくて、コミュニケーションを交わしながら、写真やCGのような次世代の写真に代わるものを作っていきたいと思っています。

Q:これからどのような展開をしていきたいですか?



A:人間味が感じられる仕事を続けていきたい。

AI技術の発達がものすごいスピードで進化している中でも、相手と空気感を共有していくような、人とのコミュニケーションの上で成り立つものづくりをしていきたいです。

もう綺麗な写真は誰でも撮れるようになるかもしれませんよね。ただ依頼された写真を綺麗に撮るだけではなく、フォトグラファー視点での提案などのコミュニケーションも含めて自分たちの価値を提供していきたいです。

あたたかみを感じられる大木さんの作品たち

Q:これから創業を目指すみなさんへのアドバイスをお願いします!


A:ワクワクする方向へ変化し続けていこう。

自分が好きなことをやっていれば、共感して応援してくれる人は絶対出てきます。
自分の本気度は自分にしかわからないですよね。うまくいくかも始めてみないとわからないです。一歩踏み出してみればどんどん進んでいきますし、不安に感じるようなことがあれば、戻ってみることも必要だと思います。継続していくための変化を続けていくことも大切だと思っています。
ワクワクする方向へ進んでいけば、失敗しても人生後悔しないと思います。

大木賢写真事務所
〒932-0217 富山県南砺市本町3-28-1
WEB:https://kenohki.jp/

文:徳田琴絵(富山オタクことちゃん)