富山県創業支援センター/創業・移住促進住宅
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【Vol.06】創業ライブラリ ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~檜垣さん cafe companio(カフェ カンパニオ)
こんにちは!SCOP TOYAMA/創業応援プロジェクトBizHikeです。 創業応援プロジェクトBizHike(ビズハイク)は、創業を志し実践する人たちが、その道を「ひとりにならず、みんなで歩む」ことができる環境を提供すべく誕生しました。 ※BizHikeって何?という方はこちらをご覧ください 創業経験者のリアルストーリーを読める記事コンテンツ「創業ライブラリー」。出演してくださっている方は、自らもチャレンジの最中でありながら、その経験を惜しみなく「シェア」してくださる方々です。様々なストーリーに触れることで、視野を広げ、歩みを進める勇気を得られるようなコンテンツになればと願っています。 【BizHike】経験シェアコンテンツ!創業ライブラリー 関連記事を読む > 【Vol.06】創業ライブラリ ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~ 創業には、さまざまなカタチがあります。最も大切なことは、継続していくこと。 創業の最初の一歩目から現在まで、どのように事業を継続してきたのか。県内の先輩創業者ひとりひとりの創業のカタチに触れていきましょう! SCOP TOYAMAのチャレンジショップ3店舗目としてオープンしたcafe companio(カフェ カンパニオ)の檜垣さんです。 ・檜垣 望(ひがき のぞみ)さん cafe companio ハーバルセラピスト 富山県富山市生まれ。服飾系短期大学進学を機に上京し、都内にてアパレル店や飲食店で勤務。2023年に神奈川県横浜市から夫婦で富山に移住。同年2月にSCOP TOYAMAのチャレンジショップにてコーヒーとハーブを軸にしたカフェ「cafe companio」をオープン。 Q:現在のお仕事を始めたきっかけは? A:自分たちのオリジナリティを表現できる空間をつくりたい。 中学生の頃からお店をやってみたいという夢がありました。雑貨屋やカフェめぐりでたくさんのお店を見て回るなかで、自分好みの空間のお店をつくりたいという気持ちがどんどん強くなっていきました。 社会人になってからしばらくアパレル業界で働いていましたが、美味しい食事を楽しめる飲食店をつくりたいと考え始めた転機がありました。それは、体調を崩して脳の手術を受けたことです。手術後の処置の影響で匂いや味を感じられない数日間を過ごした時、日常的に美味しいものを食べられることの幸せを実感しました。 この体験を経て、調理や飲食店経営を学べる専門学校に通い始めました。バリスタを目指す夫と専門学校で出会い、自分たちのオリジナリティを表現できる特別な空間をつくりたいという夢に向かって一緒に歩み始めました。夫とは意見がぶつかることも多いですが、その分いいものを生み出していける心強いパートナーですね。 お皿や店内はアンティーク調のもので彩るというこだわり Q:創業の一歩目を踏み出した時のことを教えてください。 A:起業支援事業に思い切って応募してみた。 子育てをしながら都内で店舗を経営する生活は将来が見えず、親のサポートや豊かな自然環境がある富山へのUターンを選ぶことにしました。「とやまUIJターン起業支援事業」の募集を見つけて、ダメ元で思い切って申請してみたら採用されたんです!申請が通った勢いで開店準備を進めることになりました。 富山での店舗を探している時に、母がSCOP TOYAMAのチャレンジショップの情報を教えてくれました。支援も充実していて、他のチャレンジショップの創業メンバーがいて心強い環境もあるのでSCOPに決めました。 立山での、望さんお気に入りの富山の景色。 Q:創業をする上で、大変だったことは?どうクリアしましたか? A:プレオープンを実施できず、ドタバタに。 経験から言えるのは、プレオープンは必ず行った方が良いということです。 都内での勤務との両立の中で、富山への移住と開店準備を進めてきました。開店日の1か月前に富山へ引っ越したため、調理器具を揃える場所も分からないような状況で時間に余裕がなく、プレオープンを実施できませんでした。開店日に実際に動いてみると、備品が足りないことに気が付いたり、導線も初めて整理されたり。大変でしたが、SCOPのスタッフさんにとても助けられました。声を掛けてくれたり、ゴミ捨てを手伝ってくれたりしました。 SCOPの施設見学に訪れた方々にも、SCOPのスタッフさんが丁寧にお店の説明をしてくれています。施設見学の後にランチに訪れてくださる方も多く、自分たちではなかなかアプローチできない顧客の獲得をサポートしていただいています。周りの人たちに支えられています。 cafe companioにて、笑顔の檜垣さんご夫妻 Q:最初の販路をどのように見出しましたか? A:SCOPのコミュニティに助けられています。 最初のお客様は、SCOPの近所に住むおじいちゃんでした。SCOPのチャレンジショップに出店している朔さんのお客様で、何度も訪れてくれる方です。まさにSCOPの効果ですね。 オープン時は情報発信の余裕がなかったのですが、SCOPの関係者の方がプレスリリースなどを支援してくださって、地元の新聞や情報誌に掲載されました。掲載記事を見て来店いただいた方も多かったです。 SCOPを拠点に認知度を高めて、お店のファンをつくっていきたいです。 Q:事業を継続していく上で大切にしていることは? A:一人ひとりに向き合うコミュニケーション。 注文や会計などのちょっとしたタイミングで、お客様とのコミュニケーションを大切にしています。あるお客様が「こんなに美味しいデザートは、初めて食べました!」と伝えてくださって、感動して涙が出そうになりました。お料理や会話を通してポジティブな気持ちになってもらえると嬉しいです。 近所の方にも遠方から訪れる方にも、お家にいるかのような安心感のある居心地の良い場所にしていきたいです。 笑顔になれる、愛らしいカフェメニュー Q:これからどのような展開をしていきたいですか? A:お店を通して富山を盛り上げていきたい。 将来的には一から自分たちのお店を作りたいという夢もありますが、まずはチャレンジショップで3年間営業を継続できるように頑張ります。 チャレンジショップのメンバーには刺激を与えてもらっています。一緒に富山を盛り上げていきたいですね。関東に住んでいた頃に「富山ってどこ?」とよく言われて悔しい思いをしました。私たちを通じて、富山を知ってもらえるくらいのお店になりたいです。 また、富山県内でのイベント出店にも積極的に参加していきたいです。新たなお客様との出会いを楽しんでいきたいと思っています。 お店にも飾っている家族3人の似顔絵 Q:これから創業を目指すみなさんへのアドバイスをお願いします! A:“叶えたい”を見える化する。 もう少し経験を積みたいと考えたり、チャレンジするかどうか迷ったりする気持ちはよく分かります。私たちも決心してから店舗をオープンするまでに7年かかりました。 迷っている時でも、考えていることを書き起こしたり、参考にしたい雑誌の切り抜きを集めて貼ったり、イメージボードを作るのもおすすめです。見える化することでやる気が湧いてきます。見返すことで当時の熱量を思い出すこともできます。 人生は一度きりなので、迷うのであれば行動したほうがいいですよ! 文:徳田琴絵(富山オタクことちゃん) =【編集後記】= 終始にこにこ笑顔でインタビューに答えてくださった望さん。一緒にお話していると明るい気持ちになれます。お客様もきっと、望さんとの会話を楽しんでいるのだろうなと感じました。 私もcafe companioのランチへ行ってきました!アンティークなデザインの手作りのメニュー表から思いやりや丁寧さが溢れていて、お料理を食べる前からワクワクしました。 富山の季節の食材を取り入れた美味しいパスタと、ほっと癒される香り豊かなハーブティーをいただきました。ごちそうさまでした。 檜垣さんご夫妻が生み出す、“あたたかな居心地”をみなさんもぜひ体感してみてください。 cafe companio 営業時間 11:00〜17:00 (LO16:00) 休業日 毎週月・日曜日 WEB/SNS instagram ▷ @cafecompanio 場所 SCOP TOYAMA 創業支援センター1F チャレンジショップ
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【Vol.05】創業ライブラリ ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~大島 健太郎さん ツリーコネクト 代表
こんにちは!SCOP TOYAMA/創業応援プロジェクトBizHikeです。 創業応援プロジェクトBizHike(ビズハイク)は、創業を志し実践する人たちが、その道を「ひとりにならず、みんなで歩む」ことができる環境を提供すべく誕生しました。 ※BizHikeって何?という方はこちらをご覧ください 創業経験者のリアルストーリーを読める記事コンテンツ「創業ライブラリー」。出演してくださっている方は、自らもチャレンジの最中でありながら、その経験を惜しみなく「シェア」してくださる方々です。様々なストーリーに触れることで、視野を広げ、歩みを進める勇気を得られるようなコンテンツになればと願っています。 【BizHike】経験シェアコンテンツ!創業ライブラリー 関連記事を読む > 【Vol.05】創業ライブラリ ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~ 創業には、さまざまなカタチがあります。最も大切なことは、継続していくこと。 創業の最初の一歩目から現在まで、どのように事業を継続してきたのか。 県内の先輩創業者ひとりひとりの創業のカタチに触れていきましょう! 今回ご紹介するのは、砺波市を拠点に屋敷林整備など林業に取り組むツリーコネクト代表の大島健太郎さんです。 ・大島 健太郎(おおしま けんたろう)さん ツリーコネクト 代表 1999年富山県砺波市生まれ。 ツリーコネクトの代表を務める林業界の若手起業家。 林業、工事伐採、特殊伐採、高木剪定の事業を手がけ、散居村における屋敷林保全にも注力する。高所や難所における作業も手掛けるなど、高い技術力を誇る。 Q:現在のお仕事を始めたきっかけは? A:五感が刺激される魅力的な世界だから。 林業に携わることに興味を持ったのは、進路に悩んでいた高校3年生の頃でした。父がおすすめしてくれた映画『ウッドジョブ』を観て、林業の仕事を知りました。 担任の先生が紹介してくれた林業体験イベントに参加してみると、映画で見るよりも現場での作業の危険さを感じたものの、その他のギャップはポジティブなものばかりでした。 木を切る時の迫力や、山の香りや鳥のさえずりなど五感が刺激される自然環境が新鮮で魅力的に感じました。林業の業界に入る決意をし、高校卒業後に県内の木材会社に入社しました。 山の中で重機で丸太を切り出す、迫力のある場面。 Q:創業の一歩目を踏み出した時のことを教えてください。 A:地域の景観を守っていくことに貢献したい。 勤め始めてから2年が経った頃、母の実家が屋敷林(やしきりん※1)の整備に困っていると相談を受けました。散居村(さんきょそん※2)と呼ばれる地域の伝統的な家屋です。 散居村における屋敷林整備は山での伐採とは技術が全く異なり、より複雑です。20メートルもの高さの高木でありながら、周囲には障害物もたくさんあって難しい作業です。担い手も少なく、地域課題になりつつあります。 困っている家もたくさんあるだろうし、地元であるとなみ平野の美しい景観を守っていくためにも、自分の技術を磨いて屋敷林を整備する事業に取り組みたいと思うようになりました。 この出来事をきっかけに、休みの日に講習会を受けに行きながら少しずつ道具も買い揃えていき、資格を取って3年間勤めた会社を退職して創業しました。 母の実家の屋敷林整備 ビフォー(左)&アフター(右) 屋敷林(※1)・・・となみ平野の冬の冷たい季節風や吹雪、夏の日差しなどから家や人々の暮らしを守るために敷地の南西部にスギやヒノキなど背が高くなる樹種を植えている。別名「カイニョ」。 散居村(※2)・・・散居とは、家と家が離れて散在する集落の形態をさす言葉。散居村は家々が集まっている集村のこと。 Q:創業をする上で、大変だったことは?どうクリアしましたか? A:顧客獲得のために、とにかく営業大作戦! 仕事があればすぐに始められる状況ではありましたが、最初の壁はお客さんを獲得することでした。 当時はお客さんも特に見込みがなく、とにかく動いてみようという気持ちでした。不安でしたが、動かなければお金も入ってこないし生活もできないですからね。名刺を作って、屋敷林のある家に名刺を投げ込んだり、建設業、解体業、造園業者などに売り込んだり。最初の1ヶ月間はひたすら営業活動を行いました。 創業当初、車に最低限の道具をいつも常備していた。 Q:最初の販路をどのように見出しましたか? A:相手の課題を見出し、自身の強みでアプローチ。 最初のお客さんは、飛び込みで営業した造園屋さんでした。 従来は対応の困難な高木に対して、費用をかけて高所作業車を導入していたところを「僕であれば、身体ひとつで解決できます」とアプローチしました。 自分の強みを言語化して、相手の課題に寄り添った提案を意識していました。 レッカーや高所作業車が入らない中庭での吊り下ろし作業の様子 Q:事業を継続していく上で大切にしていることは? A:安全と、対話と、繋がり。 まず、1つ目に“安全第一”です。怪我や事故を起こしてしまっては元も子もありません。特に高所で作業をする時は、ロープに吊られた状態でノコギリやチェーンソーなどの道具を扱います。一つでも不備のないように道具を大切に扱い、コンディションには常に気を配っています。 2つ目は“コミュニケーション”です。屋敷林の仕事においては、山間部とは違って周囲の住民のみなさんへの挨拶や、チェーンソーやトラックの音の配慮が欠かせません。お客さん側がトラブルにならないように、円滑なコミュニケーションを意識しています。 3つ目は“繋がり”です。屋号を『ツリーコネクト』と名付けたように、僕は山と街と木と人といった、いろんな繋がりを木を通じて大事にしていきたいと思っています。 大きな企業に負けないような繋がりをつくっていくためにも、フットワークを軽く行動に移しています。もちろん、すぐに実行に移せるように技術を磨き続けることも大切ですね。 お気に入りの散居村を一望できるスポット、閑乗寺(かんじょうじ)公園展望台。 Q:これからどのような展開をしていきたいですか? A:林業の面白さを感じてもらいたい。 母校で林業での創業について講演 日々、林業の世界はまだまだ奥が深いと感じています。技術の向上はもちろんのこと、林業を知らない若い人たちに、新しさや面白さを感じてもらえるような機会や接点を増やしていきたいです。 最近はSNSを活用して日頃の作業の様子を発信しています。少しでも興味を持ってもらえるようなアクションをどのように起こしていこうか日々悩んでいますが、小さなことから試していこうと思います。 また、スタッフがモチベーションの高い状態で現場に集中できるように、他の作業時間をいかに効率化していくかということもアップデートしていきます。ツリーコネクトで働くスタッフにとっても、やりがいや楽しさを感じられるような企業として成長していきたいです。 県内の若者向けビジネスプランコンテストにもエントリーし、林業を知ってもらう機会づくりに積極的に参加。 Q:これから創業を目指すみなさんへのアドバイスをお願いします! A:信用を築き上げていこう。 資金的な心配がある方も多いと思いますが、最初はお金よりも信用を築き上げていくことのほうが大切だと思います。 少しずつ繋がりをつくり、確実な仕事で応えていく。そして普段から関わりのある人たちとの繋がりを大切にしていくことで、口コミなどで少しずつ繋がりが広がっていくと思います。 やりたいことのタネを見つけたら、まずは挑戦してみましょう!動いてみないと改善もできないですよね。失敗をしたとしても、挑戦したことに対して評価してくれたり応援してくれたりする人が必ずいますよ! 文:徳田琴絵(富山オタクことちゃん) =【編集後記】= “木を切る”といっても、さまざまなジャンルやスキルがあるのですね。林業の世界に触れることがあまりなかったので、初めて知ることばかりでワクワクしました。 まっすぐな眼差しで言葉を紡いでくれた大島さん。一言一句に、実行を重ねてきたからこその力強さを感じました。 まさに私も散居村に住んでいます。美しい景観は住んでいる人たちだけでなく、周りから支えてくれる想いのある人たちに守られているということを改めて感じました。 私自身も、胸を張って“人の想いありき”の散居景観の魅力を伝えていきたいです。 ツリーコネクト 〒939-1367 富山県砺波市広上町1-21 WEB:https://tree-connect.jp/
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【Vol.04】創業ライブラリー ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~ひつじの 中村 千賀さん
こんにちは!SCOP TOYAMA/創業応援プロジェクトBizHikeです。 創業応援プロジェクトBizHike(ビズハイク)は、創業を志し実践する人たちが、その道を「ひとりにならず、みんなで歩む」ことができる環境を提供すべく誕生しました。 ※BizHikeって何?という方はこちらをご覧ください 創業経験者のリアルストーリーを読める記事コンテンツ「創業ライブラリー」。出演してくださっている方は、自らもチャレンジの最中でありながら、その経験を惜しみなく「シェア」してくださる方々です。様々なストーリーに触れることで、視野を広げ、歩みを進める勇気を得られるようなコンテンツになればと願っています。 【BizHike】経験シェアコンテンツ!創業ライブラリー 関連記事を読む > 【Vol.04】創業ライブラリ ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~ 創業には、さまざまなカタチがあります。最も大切なことは、継続していくこと。 創業の最初の一歩目から現在まで、どのように事業を継続してきたのか。県内の先輩創業者ひとりひとりの創業のカタチに触れていきましょう! 今回ご紹介するのは、SCOP TOYAMAのチャレンジショップで手織りの毛織物のお店を出店されている中村 千賀さんです。 Q:現在のお仕事を始めたきっかけは? A:学生時代に「ひつじ」に出会ったことがきっかけでした 畜産大学でSHEEP CLUBというサークルに入った時に、ひつじの毛を扱う機会があり、その魅力に触れたことがきっかけです。昔から人間の暮らしを支えてきた動物で、毛を衣服や家具、道具などに使うほか、肉や乳製品としても利用されます。私自身はその中でも羊毛加工が特に気に入り、多面的に活用できる動物に興味を持ちました。 当初、私はひつじを育てる仕事に就きたいと考えていましたが、女性としては肉体労働がハードで、長期的に続けるのは難しいと判断しました。そこで、毛を扱う仕事に転向し、畜産大学卒業後は染色や織りの技術を磨くため、京都の織物の専門学校に入学しました。 「ひつじの」の店頭にある糸車。これで羊毛から糸を作ります Q:創業の一歩目を踏み出した時のことを教えてください。 A:SCOP TOYAMAの存在を知ったことがきっかけでした その後、作家として活動する道もありましたが、結婚した後は専業主婦として家庭を支えることを優先しました。 その間も、いつか「ひつじ」に関する仕事にすることを夢見ていました。たまに市民プラザなどでマフラーやストールなどを製作し、販売するなど、小さな活動をしていましたが、本格的に得意なことを仕事にしたいという思いが強まり、2022年には、SCOP TOYAMAという施設の存在を知ったことをきっかけに、動き始めました。 何かの教室を始めるなど、さまざまなビジネスモデルが考えられましたが、まずは「ひつじの魅力を知ってもらう」ということを目的に、手軽に楽しめる小物を製作し、販売することを決めました。 ワークショップでは糸を紡ぐ体験もできます。 Q:創業をする上で、大変だったことは?どうクリアしましたか? A:創業という事に馴染みがなく、全てが初めてのチャレンジでした 私は両親ともに公務員の家系で育ち、私自身も商売の経験は全くありませんでした。開業に伴う事務作業や手続き、販路開拓など全てが初めての連続で、創業前からネットで調べたりしながら、行政の相談窓口を活用して必要な手続きを進めたり、アドバイスを受けたりと一歩ずつ進めてきました。 また、手作りの作品を売るということを決めたものの、店頭に並べられるだけの商品を揃えるのも大変でした。実家に専用の織り機などの機材を備え、日々製作にあたっています。 「ひつじの」の店頭にある小型の織り機 Q:最初の販路をどのように見出しましたか? A:小さな場で商品を売るところからスタートしました 手作りのマフラーやストールなどを市民プラザの手作りイベントで販売したのが最初に商品を売った経験でした。SCOP TOYAMAでは、オープンのタイミングで取材をして頂いたりもしましたが、店舗としてはインスタグラムなどにもトライしながら、認知拡大のために日々頑張っています。 Q:事業を継続していく上で大切にしていることは? A:自分が楽しんで取り組むこと 事業を全て自分でやるというのは大変な部分もありますが、全て自分で決められるので「とても楽しい」と感じています。結婚式の演出などを自分で決めるのがとても楽しかったことを思い出しました笑 家族にも応援してもらえているので、この仕事をすることを楽しめている自分でいたいなと思っています。 自然素材を使った超小型織り機の試作品 Q:これからどのような展開をしていきたいですか? A:染色の技術を活かした色の表現と、贈り物としての商品展開 染色をすることが好きで、自分なりに色のこだわりがあります。ひつじの毛に染色して、オリジナルの配色を使った商品を作り、広めていきたいです。また、ひつじという自然なものを使った膝掛けやおくるみは、人を包み込む特別な温かさがあると思っています。ぜひギフトとして贈っていただけるような魅力のある商品を作っていきたいと考えています。 さまざまな体験も可能です Q:これから創業を目指すみなさんへのアドバイスをお願いします! A:自分がやりたいことを、言葉に出すこと/やりたいことを貯めておくこと アドバイスの一つ目は、言葉に出すことです。人に話すことで、自分の頭が整理されることもあり、実現に近づいていくと思います。 二つ目は、焦らずに、やりたいことを引き出しに少しずつ貯めていくことが大切だと思っています。 私の場合も、最初に「やりたいな」と思ってから、20年経っています。その間専門学校に行ったり、教えられる資格をとったり、興味のあること、好きなことを少しずつ貯めてきました。 そして、「いつかは使えるかな」と思っていたものを世に出すことができるチャンスが、急にやってきました。先に始めた人を見てすごいな、という気持ちも湧いてくることもあるかもしれないですが、時が来たら自分でもできるはず。自分の考えられる範囲で良いので、ぜひ焦らずに準備をしてみてほしいです。 =編集後記= お話を伺っていて、「ひつじの」は単に羊毛製品を扱う雑貨屋さんではなく、「ひつじ」の魅力を感じられる作品を通して「人を想う温かい心」にふれる場所なのだなと感じました。お店が空いている日は週に2回ですが、その他の日は大型の織り機で丁寧に作品作りをされている中村さん。 今後、どのような作品を作れば「使ってくれる人が喜んでくれるか」ということを日々考え、チャレンジショップでの事業に取り組まれています。ぜひSCOP TOYAMAにお越しの際は、「ひつじの」にお立ち寄りください! ひつじの 営業時間 水曜10:00〜15:00/土曜10:00〜17:00の週2回開店。 休業日 毎週月・火・木・金・日曜日 WEB/SNS https://hitsujino.jimdofree.com/ 場所 SCOP TOYAMA 創業支援センター1F チャレンジショップ
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【Vol.03】創業ライブラリー ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~ フォトグラファー 大木 賢さん
こんにちは!SCOP TOYAMA/創業応援プロジェクトBizHikeです。 創業応援プロジェクトBizHike(ビズハイク)は、創業を志し実践する人たちが、その道を「ひとりにならず、みんなで歩む」ことができる環境を提供すべく誕生しました。 ※BizHikeって何?という方はこちらをご覧ください 創業経験者のリアルストーリーを読める記事コンテンツ「創業ライブラリー」。出演してくださっている方は、自らもチャレンジの最中でありながら、その経験を惜しみなく「シェア」してくださる方々です。様々なストーリーに触れることで、視野を広げ、歩みを進める勇気を得られるようなコンテンツになればと願っています。 【BizHike】経験シェアコンテンツ!創業ライブラリー 関連記事を読む > 【Vol.03】創業ライブラリ ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~ 創業には、さまざまなカタチがあります。最も大切なことは、継続していくこと。 創業の最初の一歩目から現在まで、どのように事業を継続してきたのか。県内の先輩創業者ひとりひとりの創業のカタチに触れていきましょう! 今回ご紹介するのは、南砺市井波地域を拠点にフォトグラファーとしてご活躍中の大木さんです。 ・大木 賢(おおき けん)さん 大木賢写真事務所 1994年富山県生まれ。2017年金沢大学在学中に大木賢写真事務所を設立し、フリーランスフォトグラファーとして活動。2019年からは南砺市井波地域を拠点に、広告・雑誌撮影のほか、個人の日常風景も撮影する。2022年からは写真技術を活用したCGI(Computer Generated Imagery)制作や、XR(VR/AR)開発にも携わる。 Q:現在のお仕事を始めたきっかけは? A:写真を通して、大好きな富山の景色を伝えたいから。 幼い頃から、自分のお気に入りを写真に撮り収めてきました。僕にとって、もともとカメラはお気に入りのおもちゃでした。 小学生の頃は電車などの乗り物を撮影したり、中学生の頃は趣味のサイクリングで訪れた先で感動した景色を撮影してブログに掲載したりしていました。写真を見てくれた人たちから反響があることが嬉しくて、「もっと綺麗な写真を撮りたい」と思うようになりました。高校生で念願の一眼レフカメラを手に入れて、ますます写真の沼にハマっていきました。 僕はたくさんの富山の美しい景色を知っているのに、大学時代の富山や石川出身の友人たちが「北陸は何もない」と話す姿が悔しいと感じていました。写真を通して、僕が誇りに思う富山の景色をみんなに伝えたいという想いが大きかったですね。 大木さんが撮影したとなみ平野の景色 富山の風景を綴った特設ページもご覧ください Q:創業の一歩目を踏み出した時のことを教えてください。 A:2つの出会いが決意に繋がりました。 大学生時代に「自分のやりたいことでプロになろう」と決意した2つの出会いがあり、在学中に開業届を出してフォトグラファーになりました。 「なんとなくのアルバイトで自分の時間を売るよりも、自分が本当にやりたいことに時間を使いなさい」という恩師の言葉が印象的で、大好きな写真に時間を使い、写真を仕事にしていきたいと考えるようになりました。 そして大学在学中にスペインへ留学していた頃、あるイギリス人夫婦と出会いました。たまたま記念写真を撮ってあげたとき、会話の中で僕が「日本で写真を撮っていて、売ることもある」という話をすると、夫婦が「お金を貰って写真を撮っているなら、もう立派なプロだね」と言ってお金を渡してくれました。覚悟を決めてプロと名乗ろうと思えたきっかけとなりました。 1年間のスペイン留学 Q:創業をする上で、大変だったことは?どうクリアしましたか? A:行動力と周りの人たちの支えで進み続けた。 ご縁も仕事もない状態からの創業だったので、1年目の頃は新店舗オープンのチラシを見つけては飛び込みで営業に行っていました。業界のこともよくわからずに始めたので、今思うと怖いもの知らずですごいなと思いますね。学生という立場も活用して、「勉強中なので最初は無料でもいいから撮らせて欲しい」とまずは実績作りに励みました。 また、事務所を構える上での不安はもちろんありました。2019年に南砺市の井波地域を拠点に決めた当初、何よりも井波で既に活躍している先輩プレイヤーの方や、ご近所のみなさんが心強かったです。「まちに若者が来てくれた!」と喜んでもらえて、あたたかく迎え入れてくれました。自分の活動に共感して応援してくれる地域の人がいてくれるのは嬉しいです。 事務所開設は、自治体の支援制度にとても助けられました。井波は安い家賃で広い家を借りられるし、大きな商圏の金沢や富山からもそれぞれ1時間程でアクセスできる立地という部分が魅力でした。 井波のまちなかに建つ大木賢写真事務所 Q:最初の販路をどのように見出しましたか? A:仲間づくりのアイディアから繋がったお仕事。 最初のお客さんは、僕が開催していた写真教室からご縁が生まれました。僕は独学で写真の師匠もいません。一人が寂しいので、写真仲間を作るために教室をやってみようと考えました。たまたまご縁があってワークショップに参加してくれていた県内の有名なものづくり企業さんが、僕の作品を見て「工場を撮って欲しい」と依頼をくれました。 ワークショップの様子(写真は2年前のもの) Q:事業を継続していく上で大切にしていることは? A:地域との交わり。 一番は地域を大切にしたいです。創業の源泉は郷土愛なので。 せっかく井波を拠点にしているので、井波でしかできないことをやりたいといつも考えています。 バーチャル井波 近年は井波の彫刻家さんとコラボレーションをしてVR上に井波のまちを再現する『バーチャル井波』を開発しています。美術館をはじめとする各店舗では、職人さんの作品が3Dでアーカイブされています。 佛師/木彫刻師の石原良定さんの作品を3DCGモデリング これまでの井波のまちも、ずっと実験的なまちだったのだと思います。県外から職人さんが集まり、お客さんとの対話を重ねて、より良いものづくりを続けてきました。 自分の価値観を押し付けるのではなくて、コミュニケーションを交わしながら、写真やCGのような次世代の写真に代わるものを作っていきたいと思っています。 Q:これからどのような展開をしていきたいですか? A:人間味が感じられる仕事を続けていきたい。 AI技術の発達がものすごいスピードで進化している中でも、相手と空気感を共有していくような、人とのコミュニケーションの上で成り立つものづくりをしていきたいです。 もう綺麗な写真は誰でも撮れるようになるかもしれませんよね。ただ依頼された写真を綺麗に撮るだけではなく、フォトグラファー視点での提案などのコミュニケーションも含めて自分たちの価値を提供していきたいです。 あたたかみを感じられる大木さんの作品たち Q:これから創業を目指すみなさんへのアドバイスをお願いします! A:ワクワクする方向へ変化し続けていこう。 自分が好きなことをやっていれば、共感して応援してくれる人は絶対出てきます。 自分の本気度は自分にしかわからないですよね。うまくいくかも始めてみないとわからないです。一歩踏み出してみればどんどん進んでいきますし、不安に感じるようなことがあれば、戻ってみることも必要だと思います。継続していくための変化を続けていくことも大切だと思っています。 ワクワクする方向へ進んでいけば、失敗しても人生後悔しないと思います。 大木賢写真事務所 〒932-0217 富山県南砺市本町3-28-1 WEB:https://kenohki.jp/ 文:徳田琴絵(富山オタクことちゃん)
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先輩創業者に聴く!【創業ライブラリー】〜vol.2 朔(さく)道林亜子さん
こんにちは!SCOP TOYAMA/創業応援プロジェクトBizHikeナビゲーターの田中です。 創業応援プロジェクトBizHike(ビズハイク)は、創業を志し実践する人たちが、その道を「ひとりにならず、みんなで歩む」ことができる環境を提供すべく誕生しました。 ※BizHikeって何?という方はこちらをご覧ください 創業経験者のリアルストーリーを読める記事コンテンツ「創業ライブラリー」。出演してくださっている方は、自らもチャレンジの最中でありながら、その経験を惜しみなく「シェア」してくださる方々です。様々なストーリーに触れることで、視野を広げ、歩みを進める勇気を得られるようなコンテンツになればと願っています。 【BizHike】経験シェアコンテンツ!創業ライブラリー 関連記事を読む > 創業には、さまざまなカタチがあります。最も大切なことは、継続していくこと。 創業の最初の一歩目から現在まで、どのように事業を継続してきたのか。県内の先輩創業者ひとりひとりの創業のカタチに触れていきましょう! 今回ご紹介するのは、SCOP TOYAMA1号店としてチャレンジショップで開業を果たされた朔(さく)の道林亜子さんです。 道林 亜子(みちばやし あこ)さん 植物療法とSOLチョコレートのお店 朔(さく)オーナー。富山県出身、事務職の会社員を経て、植物療法を学び「いつか人を癒す仕事をしたい」と志す。友人でもあった創業パートナーからの声がけでSCOP TOYAMA の存在や、チャレンジショップの募集があることを知り創業を決意。「SCOP TOYAMAの保健室でありたい」という想いのもと、植物療法の知見を取り入れたワークショップやハーブティー、お菓子などを提供し、多くの人の健康に貢献することを目指す。 Q:現在のお仕事を始めたきっかけは? A:人生の転機を迎えたタイミングで、流れがやってきたから。 長年事務職として会社員を続けていましたが、「このままでいいのかな」「自分で何かをやってみたいな」とは常々考えていました。 親の介護を経験したことで「人が健康でいられること」に貢献したいという思いが強くなり、植物療法を勉強し始めました。 もともとは植物療法の知識を生かせる会社に転職を予定していて、勤めていた会社に退職を伝えた後、その転職の話がなくなるという出来事がありました。そのまま退職せず、勤め続けるという事も会社は許してくれていたのですが、自分の中では「何があるかわからないけど、前に進む」ということを決めていました。 ずっと家族や会社のために働き続けた人生でしたが、初めてできた自分の時間でより学びを深め、自分と向き合うことができたのは貴重な経験でした。失業保険をもらいながら、先も決まっていない状態ではありましたが、不思議と不安な気持ちはありませんでした。 朔の店頭に並ぶお菓子。全て自然な味が生きていて、ハーブティーとよく合います。 Q:創業の一歩目を踏み出した時のことを教えてください。 A:背中を押される出来事が重なりました。。 これからどうしようかな、と漠然と考えていた時、今一緒にお店をやっている創業パートナーから「SCOP TOYAMAという施設ができる」ということと、「チャレンジを応援するために格安な賃料で出店者を募集するらしい」という情報を聞きました。 私自身は事業も店舗経験も未経験でしたが、飲食店の実務経験をもつパートナーに背中を押されたこともあり、応募することを決めました。 審査に通ることは難しいだろう、と思っていましたが、まさかの通過。出店が決まった時は、パートナーと向き合い、「本当にいいよね」「頑張れるよね」と確認しあったことを覚えています。 50代の女性2名でのチャレンジは、それなりに不安なこともありましたが、2人で「譲れないことは何か」「叶えたいことは何か」などを長い時間をかけて話し合い、最終的に2人で開業することを決めました。 朔で出されているハーブティーのオリジナルブレンド。喉の不調を訴えられるお客様が多かったことを受けて作られた調合。エルダーフラワー、タイム、ネトル、マロウブルー、リコリス、ローズマリーなど複数のハーブが優しく香ります。 Q:創業をする上で、大変だったことは?どうクリアしましたか? A:事業を続けるための知識も、覚悟も足りないと感じたこと。毎日実践を積み重ねながら一歩ずつクリア。 流れが来て、背中を押され、覚悟を決めて始めたのは良いものの、事業や店舗運営に関しては完全に素人。事業計画のようなものも特段定めずにスタートし、毎日壁にぶつかっては「どうしよう?」と考えることが続きました。 そうなると、店舗経営の経験がある創業パートナーに頼ってしまい、いつしか彼女になんでも確認して進めようとする自分に気がつきました。会社員として長く勤めてきた私にとっては、「答えがない中で、自分で考えて、自分の意思で決定する」という経験が大きく不足しているのだな、と改めて自覚しました。 そんな私に、彼女はいつも「あなたがオーナーなんだから、自分で考えて決めなさい」と叱咤激励してくれました。今でこそ、その通りだと思えるのですが、当初はわからないことだらけで本当に不安でいっぱいでした。 メニューの内容はどうするか?名前は?金額は? ラッピングはどんな材料を使ってどんな風にする?・・・? とにかく自分で考え、決めなければいけない事ばかりでしたが、壁にぶつかるたびに調べ、一つずつ乗り越えて、無事オープンを迎えることができました。開店後も考え続け、「このお店で何を提供していくべきか」「そのために何をしたら良いのか」などについても、試行錯誤することが自然になってきた気がします。 オリジナリティーあふれる朔のハーブティーメニュー。毎回、どれにしようかと迷ってしまいます。 Q:最初の販路をどのように見出しましたか? A:SCOP TOYAMAという環境に、助けられています。 お店を開けた途端に、マスコミの方が来てくださって、取材をしてくれたり新聞に載せてくれたりということがありました。これはSCOP TOYAMA という環境に助けられているおかげであり、本当に感謝しています。 そんな中、最初に来てくれたお客様は和ハーブの勉強をしておられる女性で、お茶とワークショップを試してくださいました。自分もいつか、資格をとって仕事にしていきたいと語っていかれたので、ハーブがつないでくれたご縁を頂けたことがとても嬉しかったです。 前職の会社の方も来てくれたりして、新しいチャレンジを応援していただけることはとても嬉しく、励みになります。 体調に合わせ、オリジナルのケアオイルをブレンドできるワークショップ。「ひえひえケア」と名付けられたオイルで指先をマッサージするとポカポカに。 Q:事業を継続していく上で大切にしていることは? A:SCOP TOYAMAを卒業する日を常に視野に入れ、毎日を積み重ねていくこと。 SCOP TOYAMAでのチャレンジができるのは3年間。2022年12月にオープンし、 無我夢中でやってきましたが、ここから先のことも考えていかなければいけません。 現在も植物療法士としての学びも継続しているところなのですが、さらに上級の資格が取れたら提供できる事も増えるので、サービスのメニューも拡充していきたいと考えています。 この環境にいられる間に、様々なことに挑戦しながら、「朔だからこそ提供できる価値」を生み出して行きたいです。 お茶を飲み、話をしながらゆったりとした時間を過ごせます。 Q:これからどのような展開をしていきたいですか? A:公園など、自然を感じられる環境を生かし、多くの人の「健康」に貢献していきたい 今はハーブティーやお菓子、体調に合わせたオイルを調合するワークショップなどを提供していますが、いずれ施術も行っていきたい。その時には、ぜひSCOP TOYAMAの隣にある馬場記念公園などに足を運び、自然の力を借りながらお客様を癒せるようなサービスを作れないかと考えています。 SCOP TOYAMAという施設には、チャレンジする人がたくさん集まっています。そこに足を運んでくださる全ての人たちの「保健室」のような存在でもありたいと思っていますので、ぜひ気軽に朔へお立ち寄り頂けたら嬉しいです。 SCOP TOYAMAの横に広がる、自然豊かな馬場記念公園。(秋の景色) Q:これから創業を目指すみなさんへのアドバイスをお願いします! A:「流れが来たら、迷わずに乗る!」というのが、とても大切。 「準備が整ってから」と考えていたとしたら、私はまだ何年もスタートを切れていなかったと思います。始まってみたら、どんなに準備をしても、悩むことはある。であれば、最初の一歩を踏み出すことが何より大切だと思っています。 2022年の4月頃、新しい挑戦をするかどうかを息子に相談がてら食事に行きました。長年会社に勤めながら、シングルマザーとして育ててきた息子も自立し、背中を押してくれたのも嬉しかったのですが、お店を出た時に、今まで見たこともないような桜吹雪が舞ったのです。 その時に、何かの祝福を受けているような、自然からのメッセージのような気がして「やれるかも!」と根拠のない自信が湧きました。 その時はまだSCOP TOYAMAでの開業も何も決まっていなかったのですが、その年の11月にはもう朔をオープンしているのですから、本当に不思議です。 もともと仕事に対してコンプレックスが強いタイプでしたが、そんな私でも一歩を踏み出すことができました。 「何歳でも、どんな人でもチャレンジできる。自分にしかわからないようなサインも、見逃さずに前に進めばきっと何かを掴めるので大丈夫!」ということを、私自身のチャレンジを通してお伝えできたら嬉しいです。 朔のハーブティーとお菓子、道林さんとの何気ない会話がSCOP TOYAMAを訪れる人を癒しています。
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先輩創業者に聴く!【創業ライブラリー】〜vol.1 株式会社IMATO 東海勝久さん
こんにちは!SCOP TOYAMA/創業応援プロジェクトBizHikeナビゲーターの田中です。 創業応援プロジェクトBizHike(ビズハイク)は、創業を志し実践する人たちが、その道を「ひとりにならず、みんなで歩む」ことができる環境を提供すべく誕生しました。 ※BizHikeって何?という方はこちらをご覧ください 創業経験者のリアルストーリーを読める記事コンテンツ「創業ライブラリー」。出演してくださっている方は、自らもチャレンジの最中でありながら、その経験を惜しみなく「シェア」してくださる方々です。様々なストーリーに触れることで、視野を広げ、歩みを進める勇気を得られるようなコンテンツになればと願っています。 【BizHike】経験シェアコンテンツ!創業ライブラリー 関連記事を読む > 創業には、さまざまなカタチがあります。最も大切なことは、継続していくこと。 創業の最初の一歩目から現在まで、どのように事業を継続してきたのか。県内の先輩創業者ひとりひとりの創業のカタチに触れていきましょう! 今回ご紹介するのは、射水市で鮮魚干物の販売や観光船を運営する株式会社IMATO 代表取締役の東海さんです。 東海 勝久(とうかい かつひさ)さん 株式会社IMATO/東海水産 代表 富山県氷見市出身。漁師として29歳で独立。漁業者・魚屋・水産加工業・海上観光事業を営む株式会社IMATOを2018年に創業。富山湾の新鮮な魚を中心に鮮魚販売と水産加工品などを製造・販売。 Q:現在のお仕事を始めたきっかけは? A:やりがいと居心地の良さを感じたから。 やりたいことも目標も無かった20歳の頃、知人の紹介でなんとなく漁師の仕事を地元氷見市で始めました。想像以上に漁師の仕事が面白く、やりがいを感じられる居場所だと思えました。一度漁業を離れて他の職業を経験したこともありましたが、やっぱり漁業の世界が居心地が良く、現在拠点にしている新湊で漁師の仕事を再開しました。 Q:創業の一歩目を踏み出した時のことを教えてください。 A:“好き”で事業を興したい!という気持ちが後押ししてくれました。 大好きな漁業にまつわる仕事で事業を興したいと考えるようになり、29歳のときに「東海水産」を創業しました。当時は富山湾で何十年ぶりの新規漁業者として新聞に掲載されるなど、話題になりました。 その後、事業基盤を安定させるために観光船事業や水産加工品の製造を始めようと考え、2018年に株式会社IMATOを立ち上げ、翌年にIMATOの店舗をオープンしました。 IMATOの店舗の様子 「作り手が見える食材を手に取りたい」「自分で魚を捌けるようになりたい」「日持ちする安心安全な魚を食べたい」という地域の人たちのニーズに応えていくうちに、料理教室や独自の技術で製造する干物の販売を始めることになりました。 料理教室の様子 Q:創業をする上で、大変だったことは?どうクリアしましたか? A:創業の権利すら得られなかったこと。先人の力強い後押しが支えてくれました。 漁師として独立しようとした時、新参者だったので漁業権の取得にとても苦労しました。当時の新湊漁協の組合長が「未来の漁業者を育てるためにも、東海の力になろう」と助けてくれたおかげで、なんとか漁業権を取得することができました。組合長には、日頃から自分が漁業を通して叶えたいことやアイディアを熱心に伝えていました。話を面白がってくれて力強く後押しをしてくれました。とても感謝しています。 東海さんは水揚げされる魚が大好き Q:最初の販路をどのように見出しましたか? A:手札の中で新たな価値を見出す努力が実りました。 図書館や本屋で漁業にまつわる書籍をたくさん読んで学び、手札の中で挑む努力をしました。最初に与えられた漁場は、当時の新湊では値が付きにくい魚ばかりが採れる場所でした。しかし、がっかりするのではなく採れる魚をどう売っていくかを考えました。文献で情報を集めていると、地域によって取引価格が変わる魚があることがわかり、自分の網でよく採れるカレイに着目しました。仲買人にどうすれば他の地域でも売れるのかを尋ねると「生きたままのいいものを持ってきて」と話してくれたので、傷のないものだけを水槽に入れて持っていきました。新湊の何倍もの値で取引できるようになりました。 Q:事業を継続していく上で大切にしていることは? A:若手の見本になる“本物の仕事”をすること。 新鮮でいいものだけを売ることにこだわり、弱っている魚や傷のある魚は必ず省いて売りに出しています。これを続けていくうちに、周りからの評判も上がって取引が増えていきました。カレイは一枚80,000円の値が付くこともありました。2012年からはカレイのブランド化を目指して「万葉かれい®」と名付け、商標登録をしました。徐々に若手の漁師たちもカレイ漁をやりたいと言うようになり、ノウハウを共有して共に研究会を立ち上げ、万葉かれい®の発信を始めました。私にチャンスを与えてくれた組合長のように、若手の見本になれるような仕事をしようと心掛けています。 贈り物にも人気のIMATOの商品 Q:これからどのような展開をしていきたいですか? A:地域への恩返し。 高岡市・氷見市・射水市に点在する観光価値を繋げられるような取り組みや、若手の事業者さんが集まれるような場づくりを仕掛けていきたいです。現在行っている観光船事業も、連携する地域を広げていきます。私を育ててくれた地域に恩返しをしながら、次の世代の人たちを育てていきたいです。 観光船に乗って射水市の名所“東橋(あずまばし)”へ Q:これから創業を目指すみなさんへのアドバイスをお願いします! A:「やってみたい」を実行しよう! 面白いと思ったことにどんどん取り組んでほしいです。本当に好きなことであれば、辛いことがあったとしても我慢ができるし、長続きできます。継続していれば成功体験が訪れると思っています。始めることには早いも遅いも関係ないと思うので、もしやってみたいことを実行できていないのであれば、今からでも始めてみましょう。 「日本のベニス」と呼ばれる美しい内川の景観 株式会社IMATO 〒934-0011 富山県射水市本町3丁目1-6 TEL:0766-82-2226 WEB:https://imato.jp/ ライター徳田琴絵(富山オタクことちゃん) 生まれも育ちも富山。富山が大好きすぎる、自称「富山オタク」。富山市内のインキュベーション施設HATCHのコミュニケーターを担当。フリーランスとして、執筆やファシリテーション、イベント企画を通して富山の魅力を発信している。
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【ごあいさつ③】SCOPが叶えたい、創業支援。
SCOP TOYAMA(以下 SCOP)は、2017年の建築甲子園で全国優勝した富山工業高校生のプランがベースとなった全国でも珍しい職住一体の施設です。プロジェクトの発足当初から話題と注目を集めてきたSCOPが、いよいよ2022年10月28日にオープンします。 今回は、SCOPが取り組んでいく創業支援について plan-A合同会社の相澤さんと田中さん、富山県庁創業・ベンチャー課の山本さんの3名にお話しを伺いました。 左から相澤さん、田中さん、山本さん ー富山における創業の風土について、印象を教えてください。 相澤:北陸は保守的だと耳にしていたのですが、私は富山で保守的なイメージは感じられなかったです。変わらないといけないなという意識はあるけど、どうしたらいいのかを知る機会が少ないのかもしれないですね。自分たちの生活を大きく変えなくとも、少しずつポジティブに開拓して選択肢を広げていく余地がたくさんあるなと思います。 合同会社plan-A TOYAMA代表 相澤毅 大手生活ブランド勤務を経て前職ではデベロッパーにて社長室に所属し不動産開発から海外事業におけるスキーム構築・広報P R・販売戦略・広告クリエイティブ・ブランディング・新規事業企画・商品開発・人材育成制度構築・産学連携など手がけ、2018年5月に独立起業。現在は不動産事業者や大手家電メーカーのコンサル、企業の事業開発参画、不動産開発事業、場のプロデュース、拠点運営、自治体とのまちづくりや創業支援、企業の取締役や顧問、NPO法人の理事等を手がけ、多様な働き方を実践している。 山本:“創業”という選択肢がなかなか挙がってこない地域性があると思っています。富山は製造業や製薬業が地域の経済を支えてきたという歴史があり、有効求人倍率が全国平均よりも高くなっています。安定した雇用があり卒業したら就職することが一般的で、起業するという選択や新しいことをしようという考え方にあまり馴染みがないのかなと感じています。 富山県創業・ベンチャー課 山本航大 富山県富山市生まれ。東京で民間企業に7年勤務したのち、今後の暮らし方を考え富山にUターン。2021年より富山県庁に入庁し、創業・ベンチャー課で起業支援事業に従事する。同時に公民連携を学びつつ、有志と共にとやま都市経営実行委員会を設立して、県庁前公園で「ケンチョウマルシェ」を開催。 相澤:富山はとても安定している印象があります。地域のリサーチを重ねている中でやはり製造業が強みだということが顕著に分かりました。しかし、安定しているけれども柔軟ではないという印象です。製造業は大きな拠点を構えているだけに、万が一の事態で拠点を撤退せざるを得なくなったときに企業に紐づいたエリアの雇用が失われがちという事例も日本各地で起こっています。雇用に困る人たちが多く現れるということは、地域の経済にとって大きなダメージになりますよね。平和で安定しているうちに第二、第三の自分の人生のレールをひとりひとりがイメージできるようになるといいなと思います。 田中:“創業”という言葉は、人によっていろんなイメージがあると思うんですよね。例えば「まだ世の中にない新たなサービスを生み出す」とか、「大きな事業を興して世界へ羽ばたく」など、何か大きなことを成し遂げることを想像する方もいるかもしれません。もちろんそれもすごいことですが、例えば「何か自分ができることで人を助ける、喜んでもらう」というのも立派な創業の一つだと思います。どんな規模の創業であっても、大切なことは「まず一歩を踏み出すこと」そして「継続していくこと」。大きな事業でも意外と最初はひとりで始まっていたりもしますし、一歩踏み出し、色々あっても継続することで少しずつ成果が生まれていく。そのためにもまずは”創業”というものに触れる機会を増やし、「自分でもできるかも!」と思ってもらえる機会を提供できたら嬉しいです。SCOPを通して創業へのイメージの解像度を高めていきたいですね。 合同会社plan-A TOYAMA 田中優子 飲食業、ホテル等のサービス業を経て不動産デベロッパーに転職。営業、市場調査、マーケティング、商品企画、ブランディング、PR、新規事業など一連の業務に携わり2021年1月に独立。会社員時代から個人向けのサポート事業を複数創業した経験を持つ。現在は東京を拠点に複数のチームに属し事業伴走を行うかたわら、ビジネスパーソン向けスクールの立ち上げ、企画、運営等にも携わる。子育てや会社員をしながら個として活動する経験をもとに、セカンドキャリアの支援も行っている。 ーSCOPの創業支援センターはどんな場所ですか? 相澤:SCOPの創業支援センターには、いろんな事業の規模の人たちが交流できて刺激を受け合える環境が備わっています。3階のセミオープンのシェアオフィスは、コミュニケーションをとりながら仕事をしたいという人たちが入居するイメージです。事業をつくりあげていくときは、ひとりよりも誰かがいてくれる空気感があるだけでも支えられるんですよね。事業規模が大きくなって人数が増えれば、4階の個室オフィスを借りるといったように施設内でステップアップしていけます。1階には共用のダイニングキッチンがあります。一区切りついたときに気分転換にキッチンに来て挨拶を交わしたり会話を楽しんだり、キッチンが交流を誘発するための鍵になると思っています。 田中:オフィスの入居だけでなく、チャレンジショップを利用してみたり、セミナーを開催してみたり。小さく試せるチャンスがSCOPには備わっています。いまは明確ではなかったとしても、コワーキングスペースの利用やイベントに参加していくうちに、自分のやりたいことが見つかる人もいるかもしれません。そういう関わりのなかで、創業し、事業を続けていく人が一人でも増えたらいいなと思います。また、自分が創業しなくても、SCOPで出会った志のある人たちを応援する側になっていくという関係性も生まれたら嬉しいですね。共に創業を応援する文化を築き上げていきたいです。 ー創業支援はどのように取り組んでいくのですか? 田中:何か新しいことを始めたいと思ったときの入口となるような支援を行っていきます。SCOPに全ての創業支援サービスが備わっているわけではなく、また県内にはすでにいくつかの創業支援サービスがあります。SCOPが窓口となってご紹介したり、一緒にワークショップを開催したりという連携を定期的に続けていきたいと考えています。 山本:連携ができていないまま県内に創業支援の窓口がたくさん見えすぎて、結果的にうまく情報を得られないということが起きてしまってはもったいないですよね。県内各地の創業支援サービスを、SCOPがハブの役割を担って届けられるようにしていきたいです。 相澤:着実にプロジェクトを進めていくことで、県内外からいろんな人たちに足を運んでもらえる施設になっていくと思います。時間はかかるけれども、絶対に良い施設になっていく確信があります。 田中:拠点があっても人が関わらないことには何のアクションも起こりません。人と人が交わることで新しい何かが見つかる“小さな火種”を生み出せる機会づくりを、私たちが応援していきたいです。今すぐアクションを起こす人はもちろん、いつかは創業をしてみたいという方にも、ライフステージのどこかで創業するという選択肢もあるということに気づいてもらえたら嬉しいです。 ーSCOPをどんな場所にしていきたいですか? 相澤:SCOPと東京の創業支援施設が根本的に違うのは「暮らし」がある場所だということです。熱量が集まる場所というよりも、居心地が良い場所にすることが最優先になると思っています。穏やかなモチベーションを維持できる環境をつくっていきたいです。そして、暮らしや仕事の選択肢を用意できる環境が、SCOPの未来にあったらいいなと思います。 田中:「富山は創業のロードマップがとてもわかりやすい!」と感じてもらえるような拠点になっていけるといいですね。創業している人だけでなく、創業を応援している人もどんどん紹介するような発信を考えていますが、このような取り組みが誰かにとっての“気づきの種”になると嬉しいです。 相澤:創業する人にばかり光が当たり続けていて、応援する側の人たちが疲弊していってしまうとサスティナブルではないですよね。そのうちにどちらも息切れをしてしまっては、誰も幸せになれません。応援する側の人たちにも光を当てて継続的に関わっていけるような環境をつくっていくことがみんなの幸せに繋がるのではないかと思います。 3部作にわたって運営のみなさんの想いをお伝えしました。 暮らしと仕事の選択肢の幅が広がる“気づきの種”が、SCOPを拠点に富山全体へと少しずつ芽吹いていきますように。 創業応援プロジェクトBiz Hike in富山はこちら 文:徳田琴絵(富山オタクことちゃん) 写真:北條巧磨
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【ごあいさつ②】SCOPで叶えられる、富山の暮らし。
SCOP TOYAMA(以下 SCOP)は、2017年の建築甲子園で全国優勝した富山工業高校生のプランがベースとなった全国でも珍しい職住一体の施設です。プロジェクトの発足当初から話題と注目を集めてきたSCOPが、いよいよ2022年10月28日にオープンします。 今回はSCOPの最大の特徴である「住」にスポットを当て、SCOPの暮らしについて シェアライフ富山の姫野さんにお話しを伺いました。 シェアライフ富山代表 姫野泰尚 富山県富山市出身。2009年オーストラリアより帰国後、地元不動産会社にUターン就職。同年、県内初のシェアハウスを市内にオープン。2014年、在職中に『合同会社シェアライフ富山』設立、当時シェアハウス5棟運営。2015年富山市に交流型ゲストハウス縁〜えにし〜開業と同時に独立。2017年「富山市ヤングカンパニー大賞」を受賞。県内を中心に多世代共生富山型シェアハウスを展開。 ーSCOPには異なる特色をもつ創業・移住促進住宅が配置されているとのことですが、ふたつの住居棟のコンセプトを分けたのはなぜですか? 姫野:西棟と東棟のふたつの創業・移住促進住宅は、間取りはさまざまですがシェアハウス・アパートメントの構成や部屋数はほとんど同じです。明確にコンセプトを分けたのは、考え方やライフスタイルができるだけ似ている人たちが集まって暮らすことで、それぞれの住居を「自分の居場所」と感じてもらいやすくするためです。また、異なる特色をもつコミュニティの魅力を持つことによって、互いのシェアメイトたちを誘ってもう一つのコミュニティに遊びに行く、といったような両棟間でのポジティブな行き来が生まれると考えました。 ー西棟・東棟それぞれにシェアハウスとアパートメントが備わっているのも面白いですね。 姫野:シェアハウスは富山工業高校生が考えたプランの中にもともとあったものですが、アパートメントは多様なライフスタイルを選択できるように県での設計段階で取り込まれたようです。選択肢がある分、入居の際の最初のヒアリングが大切になります。ヒアリングを通して、暮らしのコンセプトに共感した仲間がそれぞれの住居棟に集まることになります。コミュニティづくりの第一歩は、ヒアリングから始まっていると言えますね。 ー選択の幅があるのは嬉しいですね。まずは西棟で叶えられる暮らしについて教えてください。 姫野:西棟は、仕事を中心に毎日の生活をより快適に暮らしたいという方におすすめです。創業している人に限らず、最近は企業に勤めている人でも場所に囚われずにパソコン一台で自由に働けるライフスタイルの方が増えてきていますよね。西棟の暮らしでは、朝は各々のタイミングで起きてきて、リビングでは朝食を食べている人もいればパソコンに向かっている人もいると思います。今日はどこで作業をしようかなという選択から始まって、SCOPの中で一日が完結することもよくあるというイメージですね。 ー創業支援センター内のコワーキングとの相乗効果はどのようにお考えですか? 姫野:西棟の家賃の中には、創業支援センター内のコワーキングスペースの利用料が含まれています。コワーキングスペースではいろいろな業種の人たちと交流ができるので、SCOPの施設内だけでも環境や気分を変えて働くことができます。職住一体の施設だからこそ生まれる、暮らしの中に溢れている課題を解決する新しい事業アイディアが出てくるかもしれませんね。 ー西棟はSCOPの最大の特徴“職住一体”を最も感じられる暮らしを送ることができそうですね。一方、東棟はいかがでしょうか? 姫野:東棟は、仕事よりも暮らしにフォーカスしています。SCOPには移住促進の要素もあるので、地域の人も県外の人も共に暮らすことで富山の暮らしや文化を感じられるような場所にしたいと考えています。多様な人たちが暮らしの中でコミュニティを育んでいく“コレクティブハウス”をコンセプトにしています。朝はだいたい同じような時間帯にみんなが起きてきてキッチンが賑わい食卓を囲み、「いってきます」「いってらっしゃい」の会話から一日が始まります。夕方くらいから徐々に人が帰ってきて、夕食を一緒に準備したりおかずのおすそ分けをしたりというイメージです。月に一回、住人のみんながリビングに集まって食卓を囲む“コモンミール”を設けたいと考えています。 ーみんなでリビングやキッチンを囲む賑やかな暮らしが想像できますね。コレクティブハウスという言葉を初めて知りました。新しい試みなのでしょうか。 姫野:コレクティブハウスは僕が富山で実現したかった住まいのカタチです。日本ではあまり馴染みのない言葉ですが、歴史はシェアハウスよりも長いそうです。 ・シェアハウス:住人それぞれの個室がある。水回りやリビングはみんなで共有する。 ・コレクティブハウス:個室には水回りが全て備わっている。共用のリビングやキッチンもある。 姫野:僕が東京で見たコレクティブハウスでは、家族と学生とおじいちゃんとおばあちゃん、そして子供たちが共同生活をしていて、一緒に食卓を囲んでいました。独立した専用の住居を持ちながらも、リビングに出れば賑やかな空間をみんなで共有できます。おじいちゃんとおばあちゃんは走り回る子供たちから元気をもらえて、家族は子育ての手助けに繋がりますよね。リビングは大切な場所になってくるので、運営メンバーやシェアメイトたちと共に時間をかけてじっくりと理想の空間を作り上げていきたいと思います。 ーそれぞれの住居棟にコミュニティマネージャーがいるのも特徴的ですね。コミュニティーマネージャーはどんな役割を担うのですか? 姫野:みんなの生活をより良くしていくために影で汗をかく役割だと考えています。頼れるリーダーというよりも、コミュニティを俯瞰できる存在です。入居者の一人として、みんなと一緒にコミュニティづくりを働きかけていきます。 ー新しいアイディアと挑戦に溢れた住居になりますね。SCOPの暮らしを多くの人に選んでもらえるといいですね。 姫野:いろんな要素が備わっているSCOPも、数ある暮らしの受け皿のうちのひとつだと思っています。これまでにたくさんのシェアハウスを運営してきた中で、誰もが居心地がいい万能なコミュニティはないと感じています。住んでいる人たちが自然とその場所らしいコミュニティを生み出していくんですよね。共同生活の中に身を置きたい、だれかと場所や時間を共有していくことで何かを得たいという人たちが問い合わせてくれたときに、僕たちが提案できる選択肢の中で、SCOPも含めてひとりひとりに合ったコミュニティを見つけるお手伝いが出来たらいいなと思います。ぜひお気軽にお問い合わせください。 次回は、SCOPが叶えたい創業支援についてお届けします。 文:徳田琴絵(富山オタクことちゃん) 写真:北條巧磨
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【ごあいさつ①】初めまして!SCOP TOYAMAの「中の人」です。
SCOP TOYAMA(以下 SCOP)は、2017年の建築甲子園で全国優勝した富山工業高校生のプランがベースとなった全国でも珍しい職住一体の施設です。プロジェクトの発足当初から話題と注目を集めてきたSCOPが、いよいよ2022年10月28日にオープンします。 施設の概要は公開されつつあるけれど、一体どんな人たちがどんな想いでプロジェクトを進めてきたのでしょう?今回は運営を務める 株式会社バロン 浅野さん、シェアライフ富山 姫野さん、合同会社plan-A 相澤さん、富山県庁創業・ベンチャー課の野村さんと山本さんの5名にお話しを伺いました。 左から山本さん・姫野さん・相澤さん・浅野さん・野村さん ーSCOPの運営は、県内外から3つの会社が肩を組み結成した「蓮町創業支援拠点運営共同体」が進めていくということですが、みなさんがSCOPプロジェクトへ参画したときのお気持ちを教えてください。 姫野:シェアライフ富山にとって、共同体の中でひとつのプロジェクトに挑戦するのは初めてです。僕は富山で10年以上シェアハウス運営を続けてきたというプライドもあって「シェアライフ富山が運営をやるしかないだろう!」と思っていました。ただ、創業支援棟と住居棟の2つの特色の違う建物を一括で管理することが求められている中で、誰かとチームを組まないと絶対に叶えられないと思いました。ちなみに、僕が独立する前から運営していた思い入れのあるシェアハウスの物件がバロンさんの管理物件だったというご縁があって、浅野さんと同じチームの一員としてプロジェクトに取り組めるのは感慨深いですね。 シェアライフ富山代表 姫野泰尚 富山県富山市出身。2009年オーストラリアより帰国後、地元不動産会社にUターン就職。同年、県内初のシェアハウスを市内にオープン。2014年、在職中に『合同会社シェアライフ富山』設立、当時シェアハウス5棟運営。2015年富山市に交流型ゲストハウス縁〜えにし〜開業と同時に独立。2017年「富山市ヤングカンパニー大賞」を受賞。県内を中心に多世代共生富山型シェアハウスを展開。 浅野:バロンでもこれまで指定管理事業を経験したことがありますが、今回の職住一体のプロジェクトは挑戦したことがない内容でした。実はSCOPのこの場所は、私にとって昔からご縁がある場所なんですよ。遡りますが、幼稚園の頃から小学1年生まで県職員住宅に住んでいました。思い出のあるこの場所で新しい挑戦ができるのは嬉しいです。プロジェクトマネージャーの相澤さんは聡明で信頼できる方ですし、頼もしいみなさんと共にそれぞれの役割をしっかりと果たせば、SCOPもおもしろい施設になるだろうと思いました。 株式会社バロン代表 浅野雅史 1967年富山県生まれ。中央大学卒業後、北陸銀行に入社。2000年に株式会社 北陸バロン美装(現バロン)入社し現在に至る。学生時代には会計学を学び、銀行時代には財務分析、与信判断等の案件に数多く関わる。バロンでは不動産事業、環境事業、介護事業、指定管理者事業など新規事業の立上げに携わる。 相澤:富山に訪れるご縁が出来てSCOPのプロジェクトの話を聞いたときに、創業支援施設の中に“住む”という要素があるのはおもしろいなと思いました。SCOPは複合的な施設なので、横串を通して考えて動ける人材が必要になってくるだろうなと思っていました。誰が運営できるんだろうねとみんなが様子を見ている状況の中で、頑張ってくださいで終わらせたくなかったんですよ。富山のみなさんと関わっていくうちに、私も横浜での経験やネットワークを活かして力にならなくてはと使命感を感じたんですよね。 合同会社plan-A TOYAMA代表 相澤毅 大手生活ブランド勤務を経て前職ではデベロッパーにて社長室に所属し不動産開発から海外事業におけるスキーム構築・広報P R・販売戦略・広告クリエイティブ・ブランディング・新規事業企画・商品開発・人材育成制度構築・産学連携など手がけ、2018年5月に独立起業。現在は不動産事業者や大手家電メーカーのコンサル、企業の事業開発参画、不動産開発事業、場のプロデュース、拠点運営、自治体とのまちづくりや創業支援、企業の取締役や顧問、NPO法人の理事等を手がけ、多様な働き方を実践している。 ー相澤さんは横浜を拠点に事業を手掛けられてきた中で、なぜ富山を選び新たに拠点を構えようと決心したのですか? 相澤:横浜の知人が富山にご縁があったことがきっかけで富山に訪れました。それから富山に何度も足を運んでいく中で「富山には住める」と思いました。風土の豊かさはもちろんですが、富山で出会った方々が魅力的でした。自分たちが儲けようというよりも地域をどうしていきたいかというお話しをされる方が多かったんですよね。SCOPのように、ひとつの組織では練り上げていくことが難しい複合的なプロジェクトを、富山ならみんなでつくりあげていくことができると感じました。SCOPを通して、私たちplan-Aも富山に根付いていきたいと思いました。 ー相県内外から素晴らしい実績と熱い想いを持ったみなさんが参画され、県庁のお二人はいかがですか? 山本:それぞれの熱量も役割も、バランスのいいチームだなと心から感じています。特に相澤さんの行動力が印象的でした。指定管理が決まる前から頻繁に富山を訪れていて、やる気と使命感に満ち溢れていました。熱心に富山県内のローカルプレイヤーに会いに行ったり地域調査に取り組んだりしている相澤さんが頼もしいなと感じました。 富山県創業・ベンチャー課 山本航大 富山県富山市生まれ。東京で民間企業に7年勤務したのち、今後の暮らし方を考え富山にUターン。2021年より富山県庁に入庁し、創業・ベンチャー課で起業支援事業に従事する。同時に公民連携を学びつつ、有志と共にとやま都市経営実行委員会を設立して、県庁前公園で「ケンチョウマルシェ」を開催。 野村:私はメンバーの中で一番長くプロジェクトに携わっています。最初は人手も少なく、ひたすらてんてこまいでした。県庁内に創業・ベンチャー課が誕生し、とてもエネルギッシュな共同体のみなさんも参画して、一緒に楽しく取り組める仲間がいるというのはとても素敵なことだなと思いました。みなさんのおかげで、一気にプロジェクトが彩られました。 富山県創業・ベンチャー課 野村慎太郎 当プロジェクトを設計、施工、運営準備、開所まで担当。職住一体というコンセプトを理解した上でプロジェクトを遂行するために、中小企業診断士と宅建士を取得し、課題に取り組んできた。好きな言葉は一日一善。 相澤:創業・ベンチャー課のみなさんは県庁職員らしさを良い意味で越境していて、チャレンジングな組織なのでプロジェクトを進めやすいですね。 姫野:運営メンバーの大半が子育て世代で、同じくらいの年齢の子どもがいる仲間が集まって仕事ができているのも楽しいです。野村さんが僕たちの運営するシェアハウスにお子さんを連れて遊びに来てくれたのも嬉しかったです。 フラットなチームワークが対話の様子から垣間見える ーみなさんが交わし合う笑顔から、プロジェクトチームの結束力の強さを感じます。共同体のみなさんはぞれぞれSCOP TOYAMAにどんな関わり方をされていくのですか? 浅野:バロンでは、みなさんが快適に住めるように建物の環境整備を担当します。個人的には創業支援の面でも元銀行員というキャリアや、バロンが長年富山で築き上げてきたネットワークを活かしてSCOPのみなさんのお手伝いがしたいです。新しくチャレンジしてみようと考えているみなさんの夢が実現できる場所にしていきたいです。 姫野:シェアライフ富山は、SCOPの共同生活のお手伝いをしていきます。住人同士が自主的にお互いを尊重しながら自分たちの暮らしを向上していくための知恵を出し合える空間を作っていくことが一番大切だと思っています。住居棟は入居が3年という時間の制限があるのですが、限られた時間の中でもSCOPを自分の居場所だと感じてもらえるようにしていきたいです。退去=関係人口が増えていくことだと私は考えています。今後、SCOPから関係人口がどんどん生まれていくと嬉しいです。 相澤:plan-Aは、創業支援と全体のディレクションを並行して担当します。ディレクションの立場として、プロジェクトを俯瞰した目線でもしっかりと見続けていくことが必要だと思っています。富山の中だけに留まらず、SCOPに関係していく人たちを県内外から増やしていくためにも、横浜と富山を行ったり来たりすることも大切だと考えています。また、創業支援棟のオフィスにplan-Aも入居を予定しており、運営側だけでなく利用者の目線でどう見えるだろうというところも、両方バランスをとりながら動いていきたいですね。 野村:富山工業高校生が描いたプランがプロジェクトとして動き出し、運営メンバーのみなさんも新しい挑戦の中でSCOPをカタチにしてきました。浅野さんが幼少期時代を過ごされたという驚きのお話しがありましたが、もともとこの場所にゆかりがある人もたくさんいらっしゃるんですよね。ゆかりのある人たちも、新しく足を運ぶ人も、多様な人たちが交流できる場所にしたいです。仲間と出会い、また帰ってこられるような環境をみなさんと共につくっていきたいです。 プロジェクトチームのメンバーがそれぞれのスキルを持ち寄って築き上げてきたSCOPの土壌。今後、SCOPに出入りするみなさんがどのように活用し、SCOPがどのように育っていくのかが楽しみです! 次回は、SCOPで叶えられる暮らしについてお届けします。 文:徳田琴絵(富山オタクことちゃん) 写真:北條巧磨
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