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【創業ライブラリー特別編】創業・事業のリアルストーリー 〜先輩起業家から聴く・学ぶ・ヒントを得る〜 引網香月堂 引網康博さん
【創業ライブラリー特別編】創業・事業のリアルストーリー 〜先輩起業家から聴く・学ぶ・ヒントを得る〜 引網香月堂 引網康博さん
こんにちは!SCOP TOYAMA/創業応援プロジェクトBizHikeです。 「創業ライブラリー」は、先輩のリアルストーリーをシェアしていただき、それを見た人の背中を押すような循環を生み出すことを目指すインタビューコンテンツです。 今回の先輩創業者は「事業を継ぐ」というゼロからの創業とは少し違うスタートを機に、第二創業という形で「新たなチャレンジ」を多数実践され、今や富山県内のみならず世界でもご活躍されている、和菓子店「引網香月堂」の4代目店主 引網康博さん。 1月14日にSCOP TOYAMAでのイベント時に素敵なお話を伺いましたので、その様子を「創業ライブラリー特別編」としてお届けいたします。 引網 康博(ひきあみ やすひろ)さん 引網香月堂 四代目店主 1974年生まれ。高校卒業後、東京の製菓学校で学ぶ。 卒業後に名匠•佐々木勝氏のお店、千葉市川の「菓匠 京山」で修業を始め、四年間の研鑽の後に、100年以上続く東京の名店「一炉庵」で修業を重ねた後、2000年に富山へ戻る。 その後、家業であった引網香月堂に職人として入社。首都圏での百貨店イベント、和菓子講座の講師、 テレビ出演、技術協力、海外での和菓子文化のPR活動、など幅広く和菓子文化の魅力を発信している。 挑み続けてきた歴史 1919年 高岡市伏木地域に創業し、和菓子とともに100年以上の時を歩む引網香月堂。 長い歴史のなかで四代に渡って新たな挑戦を繰り返してきたのだと四代目の引網康博さんは話します。 「引網香月堂には“当代創業”という言葉があり、継業といえども各当代が第二創業をしています。二代目も三代目もそして私も、店舗移転など新たな挑戦に取り組んできました。目の前のお客様が喜んでくださるのであれば、世の中とともに変化することも大切だと思っています」 引網さんが修行を終えて富山に帰ってきた2000年、まちなみの変貌ぶりに衝撃を受けたといいます。 「引網香月堂も含めて、従来の和菓子店の在り方に焦りを感じました。パティスリーではケーキを楽しそうに選ぶお客様の姿を日常的に見ることができるけれど、和菓子店ではなかなか見受けられない。もっと気軽に立ち寄り、その日に食べるものを楽しく選んでほしい。そんな願いがあって、ラインナップをギフト商品から日常的に召し上がっていただけるものへとガラリと変える試みに挑戦しました」 最初の試みがお客様に浸透するまでには3年かかったそうです。そして引網さんは、“のれんの前に出よう”と決心しました。 「当時はあまり職人が前に出ることはなかったのですが、和菓子づくりのワークショップを開催したり、メディアに出演したり、お店の名前(のれん)よりもまずは自分を知ってもらおうとアクションを始めました。自分が面白いと思っていることやチャレンジしたいことを知ってもらわないと何も始まらないなと思ったのです」 伝統的な技法である細工はさみを使った生菓子は、2020年に放送されたドラマで採用され注目を集めた 和菓子をもっと面白く 2010年に四代目を受け継いだ引網さんは、新たな旗印を掲げました。それは“和菓子をもっと面白く”という言葉です。日本の伝統的な魅力のひとつである和菓子。伝統という大きな流れの中に自分たちの要素を取り入れながら、現代の人びとの感覚に合わせて提案し、和菓子の面白さを伝えることを目指しています。 「今、一緒に時を過ごしているみなさんにとって、心が動く和菓子とはどんなものなのだろうか。みなさんが共感できる面白さを、和菓子を通して伝えていきたいと考えています」 新たな取り組みのひとつとして、お客様と接しながら生菓子を製作する即興オーダーに挑戦しています。 「富山県の事業で台湾に和菓子の実演をした際に、日本の伝統的なお花のお菓子をつくっても共感性がなくて全然盛り上がらなかったんです。そこで、台湾のみなさんが好きな日本のものを通訳さんに聞いてみると“招き猫”と回答がありました。日本らしい王道のデザインで貫こうと思っていたので、猫は無いだろう…と悩みました。しかし、せっかく富山に興味を持ってもらうために来たのにこのままではダメだ!と奮起して招き猫をつくってみると、会場が一気に盛り上がりたくさんの人に喜んでもらえました」 和菓子と聞くと、お茶会などのかしこまった場面を想像して少しハードルを感じてしまう人も多いのでは。実際に引網さんも百貨店での出店の際に、ズラリと並ぶ美しいお菓子に子どもが興味を示しても、「お茶のお菓子だから関係ないわよ」と母親が連れていってしまう場面を何度も目の当たりにしたそうです。そこで引網さんがつくり出したのは台湾の人たちに大喜びされた“招き猫”。すると、子どもだけでなく母親も「可愛い!」と声をあげ、たくさんの人たちがお菓子を買って帰りました。 「台湾と百貨店、どちらもとても価値のある体験をしました。お客様が喜んで食べてくれる場面を想像すると、王道にこだわることもないのかなと。ただ自分で理由を付けて線を引いていただけなんだと思いました」 ロンドンやタイなど、海外でも大人気の生菓子製作の即興オーダー 招き猫に限らず、お客様との対話のなかでいろいろなアレンジを始めるようになり、ウエディングケーキやクリスマスケーキといったデコレーション和菓子の制作も大好評です。 「売れるからではなく、お客様の声なき要望を引き出す。私自身も、つくっているとどんどん楽しくなってくるんですよ。そうするとお客様も心から喜んでくれて和菓子の面白さが伝わったのか、また足を運んでくれるのです」 クリスマスデコレーション(左)、寅年で釣り好きなお父さんへのお祝いのオーダー(右) お客様が広報大使 もうひとつの新たな取り組みとして、2017年に富山市に新店舗をオープンさせました。その際には、これまでの和菓子店にはない広報戦略を試みたという引網さん。SNSの広告を若い世代に向けて展開し、テレビや新聞などのマスメディアの広告は一切活用しませんでした。 新店舗開業日の様子 「和菓子に馴染みのない若い世代の方々にまずはお越しいただきたかったからです。全然人が来なかったらどうしようという不安ももちろんありましたが、SNSを見たたくさんの若い世代のお客さんにお越しいただけました。お客様の発信を見た方々が足を運んでくれて、おかげさまで若い世代のみなさんにもたくさんお越しいただいています」 思わず発信したくなる、心が動く和菓子との接点を生み出している引網さん、さすがです。 「いろんな切り口から和菓子を楽しむ。それはお客様だけではなくて自分自身もそうです。自分が飽きてしまわないことが一番大事だと感じています。変化や新しい挑戦に対して良いも悪いも両論は当然聞こえてくるけれど、自分が楽しむことが何よりも大事だと考えています」 心から楽しみ続けることが大切 まずは自分が心から和菓子を楽しむ。そう考え始めたのは、修行を始めて間もない頃でした。もともとは家業だからなんとなく和菓子を学び始めたという引網さん。製菓学校を卒業後に千葉県の「菓匠 京山」で修行を始めました。 「君は3日でやめるだろうと言われていたくらいだったのですが、師匠の仕事をそばで見ていて、和菓子づくりへの姿勢が変わりました。師匠はいつも素材の仕込み方やデザインの話で盛り上がっているくらい、とにかく楽しそうだったんです。腕前はもちろん、和菓子づくりを心から楽しんでいる姿に感動しました。その姿をみて火がついて、自分も心から楽しめる職人になりたいと目指し始めました。それからは自分が本当に面白いと思うものをみなさんと共有しています。データやマーケティングももちろん大切ですが、自分のフィーリングを信じることも大切です」 調べて学ぶだけではなく、お客様と接するなかで積み重ねてきた経験から生み出される引網さんのフィーリング。最後に信じるのは自分自身の直観だからこそ、どんな結果を迎えても納得できるのだといいます。 「経営する以上、利益はもちろん大事ですがそれ以上に自分のなかのモーターが動き続けるような何かがあることが大事ですよね。僕の場合は、和菓子って面白いでしょ?という想いが原動力です。もっとお客様のそばに、もっとダイレクトに、これからも引網香月堂の旗印であり、武器である“和菓子をもっと面白く”を突き進めていきたいです」 お客様とのやりとりを振り返る引網さんの嬉しそうな笑顔が印象的でした 引網香月堂(ひきあみこうげつどう) 場所 〒930-0151 富山県富山市古沢111-3 WEB/SNS WEB ▷ 引網香月堂 instagram ▷ @hikiami_kougetsudo 文:徳田琴絵(富山オタクことちゃん) =【編集後記】= 会場で生菓子のデモンストレーションを披露 トークセッション後の生菓子のデモンストレーションでは、会話を続けながら手のひらの上でみるみるうちにアイディア溢れる美しいお菓子を仕上げ、観客全員の表情をパッと明るく変えてくれた引網さん。魔法のような時間に魅了され、後日ついつい富山市古沢のお店に立ち寄ってきちゃいました。和菓子の面白さ、しっかりと伝わりました! 観客からの即興オーダー「龍」(左上)と「カメラ」(右上)など、心ときめく生菓子。
【Vol.08】創業ライブラリー ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~川島さん tufe代表/デザイナー
【Vol.08】創業ライブラリー ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~川島さん tufe代表/デザイナー
こんにちは!SCOP TOYAMA/創業応援プロジェクトBizHikeです。 創業応援プロジェクトBizHike(ビズハイク)は、創業を志し実践する人たちが、その道を「ひとりにならず、みんなで歩む」ことができる環境を提供すべく誕生しました。 ※BizHikeって何?という方はこちらをご覧ください 【BizHike】経験シェアコンテンツ!創業ライブラリー 関連記事を読む > 【Vol.08】創業ライブラリー ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~ 創業には、さまざまなカタチがあります。最も大切なことは、継続していくこと。 創業の最初の一歩目から現在まで、どのように事業を継続してきたのか。県内の先輩創業者ひとりひとりの創業のカタチに触れていきましょう! 富山を拠点にオーダーメイドのユニフォームブランド「neatDesign」を展開する、デザイナーの 川島さんです。 ・川島 真理子(かわしま まりこ)さん tufe代表/デザイナー 富山県生まれ。2005年に文化服装学院のアパレルデザイン科を卒業。株式会社Yohji Yamamotoでの販売員を経て、2012年にレディース服とウェディングドレスのブランド「tufe」を立ち上げる。オーダーメイドでの服づくりに魅力を感じ、2017年にユニフォームブランドneatDesignをスタート。 Q:現在のお仕事を始めたきっかけは? A:アパレルデザインへの揺るぎない憧れ。 幼い頃からアパレルデザイナーへの憧れを抱いていました。大好きだったシンデレラの絵本からインスピレーションを受けてお姫様のドレスを描きながら、洋服をデザインするという夢を追い始めました。両親からの猛反対にも負けず文化服装学院へ進学し、個性的なアイディアや素材の使い方に触れて、さらにアパレルデザインの世界にのめり込むようになりました。 卒業後はファッションブランドの店舗販売員を経験しましたが「お客様の手に取る洋服が自分のつくったものだったらもっと嬉しいだろうな」と日に日に強く思うようになり、会社を辞めて独立を目指す決断をしました。 Q:創業の一歩目を踏み出した時のことを教えてください。 A:富山と向き合うことで開けた道。 会社を辞めてからニューヨークの語学学校へ入学し、ファッションやアートに触れる生活を3か月間経験しました。語学学校で出会う人たちは愛国心が強く、自分の国のことをたくさん話してくれるなかで、私は日本のことや富山のことを何も教えてあげられなかったんです。そんな自分がすごく恥ずかしいと思いました。日本や富山の魅力を考えるようになり、富山に帰ってきました。 帰郷後はものづくりの現場を体験するためにガラス作家などの工場を訪ねました。表現力や技術力の高さを目の当たりにし、富山のものづくりに感銘を受けました。富山のものづくりを洋服に取り入れて全国に発信できるようになりたいと思い、富山を拠点に洋服制作に挑戦する道を選びました。 「tufe」のレディース服 Q:創業をする上で、大変だったことは?どうクリアしましたか? A:選ばれるブランディングの確立。 創業前は手作りマーケットで手縫いの母子手帳入れや洋服を販売していましたが、値切りの交渉を受けることが多くありました。これを解決するために、セレクトショップに商品を提供できるような品質とブランディングに注力しようと考えました。 まずは高品質の天然素材を取り扱うため、学生時代のご縁に助けてもらいながら生地屋さんを紹介してもらったり、提携先の工場を探したりと取引開拓を行いました。展示会の開き方などのアドバイスや情報を吸収し、自信を持ってレディースブランド「tufe」を2012年にスタートすることができました。当初は不安よりも、やりたいことを実現させたいという想いのほうが強かったですね。 創業時、東京での展示会の様子。 県外のセレクトショップの店頭ディスプレイに並ぶtufeの服 Q:最初の販路をどのように見出しましたか? A:コミュニケーションを交わしながら前進していく。 生地のこだわりや富山のものづくりを取り入れた洋服づくりをしていることを直接伝えるべく、キャリーケースに洋服を詰めて営業行脚に出ました。最初のお客様は県内のセレクトショップでした。名も知られていないブランドだというリスクがあるなか、オーナーさんが「頑張って」と声をかけてくれて数点選んでくれました。泣きながらガッツポーズをするくらい嬉しかったです。 また、お客様のリクエストがきっかけでオーダーメイドの服づくりが始まりました。これまではお店に商品を下ろしてしまうとお客様の顔が見えなかったのですが、オーダーメイドは着用するお客様とコミュニケーションを交わしながら一人ひとりに寄り添った洋服づくりを叶えられます。さらに必要な枚数だけの制作になるのでロスが出ないという点でも魅力的に感じ、2018年にレディースブランドを閉じてオーダーメイドブランドのみで進んでいくことを決心しました。 洋服を詰め込んだ大きなキャリーケース Q:事業を継続していく上で大切にしていることは? A:チームで取り組むものづくり。 お客様の求めていることに寄り添いながら、一緒につくり上げていくことが大切だと思っています。 ユニフォーム制作では企業の業務や環境に合わせて独自性を生み出すべく、必ず現場に行ってコミュニケーションを取っています。日々の道具がきれいに収まるような快適さを提供できるのもオーダーの強みです。業界について深く知ることができるのも面白いですよ。 もともとは一人で仕事をすることが多かったのですが、ユニフォーム制作のプロジェクトチームを組んでくださる企業さんもあり、スタッフのみなさんと同じチームで取り組むものづくりへと変わっていったことにもワクワクしています。 制作の様子 Q:これからどのような展開をしていきたいですか? A:ロスのないものづくりを叶えていく。 大切に長く着てもらえるようなものづくりを続けていくために、オーダーメイドのユニフォームブランドを県外にも展開していきたいです。 最初はお客様からのご提案で始まったオーダーユニフォーム制作ですが、着る人と共につくりあげて長く愛用してもらえるものづくりであり、私の叶えたい理想的な服づくりだと感じています。私がアパレルブランドを立ち上げた2012年、既にファストファッションが勢いを表し始めてワンシーズンだけ着て捨ててしまうといった洋服の使い方が増えてきました。今では社会問題になっていますよね。オーダーメイドはそんな社会課題へのアクションでもあります。 オーダーユニフォームブランド「neatDesign」 Q:これから創業を目指すみなさんへのアドバイスをお願いします! A:“何もやらない”はもったいない! 失敗は、“何にもやらないこと”だと思っています。頑張る姿は誰かが見ていてくれて、私もたくさんの方々に助けていただきながら11年間続けることができています。 近年はSNSの進化のおかげで個の力も発信しやすく、挑戦を知ってもらう機会も増えています。20年前よりも届きやすい世の中になりました。ネットショップから小さく販売をスタートすることもできます。あとは行動力と一生懸命やるだけです!何もやらないことほどもったいないことはないと思っています。人生一度なので、チャレンジしていきましょう! neatDesign(ニートデザイン) 場所 〒930-0014 富山市館出町1-4-10 WEB/SNS web ▷ neatDesign instagram ▷ @tufe_neatdesign instagram ▷ @neatdesignuniform 「ユニフォーム/衣(コロモブンノユニフォーム)」展 会期 2023年10月12日(木)~11月15日(水) 時間 10:00~20:00 定休 月曜日 場所 SCOP TOYAMA2Fギャラリー 詳細はこちら https://scop-toyama.jp/news/kawashima/ 文:徳田琴絵(富山オタクことちゃん) =【編集後記】= 11月15日までSCOP TOYAMAにて開催中の展示にお邪魔してきました!会場では制作時の真理子さんのまっすぐな眼差しを映した動画や、型紙を観ることができます。改めて平面から立体へと形作られ、身にまとうまでのプロセスのなかでのこだわりを感じとることができました。ぜひみなさんも、実物を手に取りながらひとつひとつのユニフォームに込められたオリジナリティを想像してみてください。 SCOP TOYAMAでの展示の様子
【Vol.07】創業ライブラリー ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~恒川さん MAKE :D SALAD DAYS (メイク ド サラダ デイズ)
【Vol.07】創業ライブラリー ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~恒川さん MAKE :D SALAD DAYS (メイク ド サラダ デイズ)
こんにちは!SCOP TOYAMA/創業応援プロジェクトBizHikeです。 創業応援プロジェクトBizHike(ビズハイク)は、創業を志し実践する人たちが、その道を「ひとりにならず、みんなで歩む」ことができる環境を提供すべく誕生しました。 ※BizHikeって何?という方はこちらをご覧ください 【BizHike】経験シェアコンテンツ!創業ライブラリー 関連記事を読む > 【Vol.07】創業ライブラリー ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~ 創業には、さまざまなカタチがあります。最も大切なことは、継続していくこと。 創業の最初の一歩目から現在まで、どのように事業を継続してきたのか。県内の先輩創業者ひとりひとりの創業のカタチに触れていきましょう! 7回目となる今回は、大学在学中にフリーランスとして開業しWebデザインに取り組みながら、SCOP TOYAMAのチャレンジショップ4店舗目としてオープンしたMAKE:D SALAD DAYS (メイク ド サラダ デイズ)の経営を行う恒川さんです。 ・恒川 椋(つねかわ りょう)さん MAKE:D SALAD DAYS経営/Webデザイナー 愛知県生まれ。大学進学を機に富山へ移住。富山大学工学部工学科電気電子コースでコンピュータの基礎を学ぶ。2021年11月に「MukuTree」の屋号でWebデザイナーとして独立。 2023年4月、SCOP TOYAMAのチャレンジショップにてサラダボウル専門店「MAKE:D SALAD DAYS」をSCOPのシェアメイトと共にオープン。 Q:現在のお仕事を始めたきっかけは? A:コロナ禍で自分の進路に向き合ってみた。 コンピューターの基礎知識を学ぶために電気電子コースを専攻しましたが、本当に電気電子の分野が好きな仲間たちがいるなかで僕はモヤモヤを抱いていました。ただなんとなく将来に向かって歩みを進めている自分に違和感があったのです。進路を考え始めた大学三年生の後半、コロナ禍に突入しました。時間に余裕が生まれ、自分自身が本当にやってみたいことにしっかりと向き合ったことが転機となりました。 それからは将来に役立つようなスキルを身に着けようと、コンピューターの知識が活かせるホームページ制作に取り組んでみたり、Web以外にもいろんなことを試してみました。そのなかで幼い頃から絵を描くことが好きだったということもあり、Webデザインの世界にのめり込んでいきました。 Q:創業の一歩目を踏み出した時のことを教えてください。 A:「やってみたい」と、気持ちが赴くままに。 「創業するぞ!」というよりも、自然な流れで創業していました。「進路にモヤモヤを感じている今の自分を変えたい」とアクションを起こそうと考えたなかで、Webデザインとしての創業は自由度が高くリスクゼロでできる挑戦なのではないかと思い立ち、2021年11月に開業届を出しました。Webデザインを仕事にしようと考えてからは、本格的にスキルを身に着けるべくオンラインスクールを受講しました。意地でも投資した分を回収しようという気持ちでスキルを磨き上げてきました。 そして2022年12月、多くの人とご縁を築くためにSCOP TOYAMAのシェアハウスに引っ越しました。そこでサラダボウル店を共同創業するパートナーの矢野さんと出会いました。SCOPの先輩シェアメイトでもある矢野さんとは、すぐに意気投合しました。矢野さんは現在も会社員として働いていますが、料理教室の講師の経験があり、飲食店の開業に興味があると話してくれました。僕もお店の経営に挑戦してみたい気持ちがあり、矢野さんと一緒にSCOPのチャレンジショップでお店を始めてみることになりました。何事も勢いが大事ですね! Q:創業をする上で、大変だったことは?どうクリアしましたか? A:お店づくりをSCOPのみんなで乗り越えた。 飲食店をやろうと決めてから、まずはコンセプトや商品について悩みました。SCOP TOYAMAでは既に3つのチャレンジショップがオープンしており、ハーブなどの健康的なものを提供するお店が揃っていました。SCOP全体の相乗効果も考えて「カラダを内側から健康に、笑顔にしていきたい」という想いを軸に商品を考えていきました。SCOPの立地やオペレーションを考慮して、持ち帰りもできる手軽な健康食にしようと、サラダを中心にメニュー開発を進めることになりました。 こうやってお店のことをシェアハウスのリビングで話し合っていると、SCOPの住人のみなさんが会話に参加してくれたりアイディアを出してくれたりと、お店づくりに参加してもらえたことがとても嬉しかったですね。SCOPに住んでいるからこそ生まれたお店だと思っています。 全メニュー管理栄養士監修の、カラダをつくるサラダ。 Q:最初の販路をどのように見出しましたか? A:プレオープン実施による課題改善。 サラダボウル店のオープン前からInstagramでの発信に取り組みながら、SCOPや富山県庁からの広報の協力を得ることができたのはとても心強かったです。 県内初のサラダボウル店ということもあり、都市部をベンチマークとした価格帯設定が受け入れられるものなのか。気になっていた価格設定についてブラッシュアップを行うためにも、プレオープンを実施しました。オペレーションの確認はもちろん、身近な方々をご招待してリアルなヒアリングができたので、プレオープンは貴重な機会となりました。 お店のカウンターに立つ恒川さん(左)と矢野さん(右) Q:事業を継続していく上で大切にしていることは? A:いいものを生み出すためのコミュニケーション。 Webデザインも飲食店も、どんなことも大切なのはコミュニケーションだと感じています。 サラダボウル店では、お客様の声を拾いながら「健康な身体をつくる」というコンセプトによりふさわしいメニューを今一度考えようと、メニュー開発のために一ヶ月間お休みをいただきました。お店を通して出会った栄養士さんたちと一緒に、メニューのレベルアップに取り組みました。コミュニケーションを交わしながら、よりお客様に満足していただけるものを生み出していく。自己成長にも繋がり、日々のモチベーションも高まっています。 矢野さんと日頃からお互いの進捗を伝え合う時間も、大切なコミュニケーションの時間ですね。
【Vol.06】創業ライブラリー ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~檜垣さん cafe companio(カフェ カンパニオ)
【Vol.06】創業ライブラリー ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~檜垣さん cafe companio(カフェ カンパニオ)
こんにちは!SCOP TOYAMA/創業応援プロジェクトBizHikeです。 創業応援プロジェクトBizHike(ビズハイク)は、創業を志し実践する人たちが、その道を「ひとりにならず、みんなで歩む」ことができる環境を提供すべく誕生しました。 ※BizHikeって何?という方はこちらをご覧ください 創業経験者のリアルストーリーを読める記事コンテンツ「創業ライブラリー」。出演してくださっている方は、自らもチャレンジの最中でありながら、その経験を惜しみなく「シェア」してくださる方々です。様々なストーリーに触れることで、視野を広げ、歩みを進める勇気を得られるようなコンテンツになればと願っています。 【BizHike】経験シェアコンテンツ!創業ライブラリー 関連記事を読む > 【Vol.06】創業ライブラリー ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~ 創業には、さまざまなカタチがあります。最も大切なことは、継続していくこと。 創業の最初の一歩目から現在まで、どのように事業を継続してきたのか。県内の先輩創業者ひとりひとりの創業のカタチに触れていきましょう! SCOP TOYAMAのチャレンジショップ3店舗目としてオープンしたcafe companio(カフェ カンパニオ)の檜垣さんです。 ・檜垣 望(ひがき のぞみ)さん cafe companio ハーバルセラピスト 富山県富山市生まれ。服飾系短期大学進学を機に上京し、都内にてアパレル店や飲食店で勤務。2023年に神奈川県横浜市から夫婦で富山に移住。同年2月にSCOP TOYAMAのチャレンジショップにてコーヒーとハーブを軸にしたカフェ「cafe companio」をオープン。 Q:現在のお仕事を始めたきっかけは? A:自分たちのオリジナリティを表現できる空間をつくりたい。 中学生の頃からお店をやってみたいという夢がありました。雑貨屋やカフェめぐりでたくさんのお店を見て回るなかで、自分好みの空間のお店をつくりたいという気持ちがどんどん強くなっていきました。 社会人になってからしばらくアパレル業界で働いていましたが、美味しい食事を楽しめる飲食店をつくりたいと考え始めた転機がありました。それは、体調を崩して脳の手術を受けたことです。手術後の処置の影響で匂いや味を感じられない数日間を過ごした時、日常的に美味しいものを食べられることの幸せを実感しました。 この体験を経て、調理や飲食店経営を学べる専門学校に通い始めました。バリスタを目指す夫と専門学校で出会い、自分たちのオリジナリティを表現できる特別な空間をつくりたいという夢に向かって一緒に歩み始めました。夫とは意見がぶつかることも多いですが、その分いいものを生み出していける心強いパートナーですね。 お皿や店内はアンティーク調のもので彩るというこだわり Q:創業の一歩目を踏み出した時のことを教えてください。 A:起業支援事業に思い切って応募してみた。 子育てをしながら都内で店舗を経営する生活は将来が見えず、親のサポートや豊かな自然環境がある富山へのUターンを選ぶことにしました。「とやまUIJターン起業支援事業」の募集を見つけて、ダメ元で思い切って申請してみたら採用されたんです!申請が通った勢いで開店準備を進めることになりました。 富山での店舗を探している時に、母がSCOP TOYAMAのチャレンジショップの情報を教えてくれました。支援も充実していて、他のチャレンジショップの創業メンバーがいて心強い環境もあるのでSCOPに決めました。 立山での、望さんお気に入りの富山の景色。 Q:創業をする上で、大変だったことは?どうクリアしましたか? A:プレオープンを実施できず、ドタバタに。 経験から言えるのは、プレオープンは必ず行った方が良いということです。 都内での勤務との両立の中で、富山への移住と開店準備を進めてきました。開店日の1か月前に富山へ引っ越したため、調理器具を揃える場所も分からないような状況で時間に余裕がなく、プレオープンを実施できませんでした。開店日に実際に動いてみると、備品が足りないことに気が付いたり、導線も初めて整理されたり。大変でしたが、SCOPのスタッフさんにとても助けられました。声を掛けてくれたり、ゴミ捨てを手伝ってくれたりしました。 SCOPの施設見学に訪れた方々にも、SCOPのスタッフさんが丁寧にお店の説明をしてくれています。施設見学の後にランチに訪れてくださる方も多く、自分たちではなかなかアプローチできない顧客の獲得をサポートしていただいています。周りの人たちに支えられています。 cafe companioにて、笑顔の檜垣さんご夫妻 Q:最初の販路をどのように見出しましたか? A:SCOPのコミュニティに助けられています。 最初のお客様は、SCOPの近所に住むおじいちゃんでした。SCOPのチャレンジショップに出店している朔さんのお客様で、何度も訪れてくれる方です。まさにSCOPの効果ですね。 オープン時は情報発信の余裕がなかったのですが、SCOPの関係者の方がプレスリリースなどを支援してくださって、地元の新聞や情報誌に掲載されました。掲載記事を見て来店いただいた方も多かったです。 SCOPを拠点に認知度を高めて、お店のファンをつくっていきたいです。 Q:事業を継続していく上で大切にしていることは? A:一人ひとりに向き合うコミュニケーション。 注文や会計などのちょっとしたタイミングで、お客様とのコミュニケーションを大切にしています。あるお客様が「こんなに美味しいデザートは、初めて食べました!」と伝えてくださって、感動して涙が出そうになりました。お料理や会話を通してポジティブな気持ちになってもらえると嬉しいです。 近所の方にも遠方から訪れる方にも、お家にいるかのような安心感のある居心地の良い場所にしていきたいです。 笑顔になれる、愛らしいカフェメニュー Q:これからどのような展開をしていきたいですか? A:お店を通して富山を盛り上げていきたい。 将来的には一から自分たちのお店を作りたいという夢もありますが、まずはチャレンジショップで3年間営業を継続できるように頑張ります。 チャレンジショップのメンバーには刺激を与えてもらっています。一緒に富山を盛り上げていきたいですね。関東に住んでいた頃に「富山ってどこ?」とよく言われて悔しい思いをしました。私たちを通じて、富山を知ってもらえるくらいのお店になりたいです。 また、富山県内でのイベント出店にも積極的に参加していきたいです。新たなお客様との出会いを楽しんでいきたいと思っています。 お店にも飾っている家族3人の似顔絵 Q:これから創業を目指すみなさんへのアドバイスをお願いします! A:“叶えたい”を見える化する。 もう少し経験を積みたいと考えたり、チャレンジするかどうか迷ったりする気持ちはよく分かります。私たちも決心してから店舗をオープンするまでに7年かかりました。 迷っている時でも、考えていることを書き起こしたり、参考にしたい雑誌の切り抜きを集めて貼ったり、イメージボードを作るのもおすすめです。見える化することでやる気が湧いてきます。見返すことで当時の熱量を思い出すこともできます。 人生は一度きりなので、迷うのであれば行動したほうがいいですよ! 文:徳田琴絵(富山オタクことちゃん) =【編集後記】= 終始にこにこ笑顔でインタビューに答えてくださった望さん。一緒にお話していると明るい気持ちになれます。お客様もきっと、望さんとの会話を楽しんでいるのだろうなと感じました。 私もcafe companioのランチへ行ってきました!アンティークなデザインの手作りのメニュー表から思いやりや丁寧さが溢れていて、お料理を食べる前からワクワクしました。 富山の季節の食材を取り入れた美味しいパスタと、ほっと癒される香り豊かなハーブティーをいただきました。ごちそうさまでした。 檜垣さんご夫妻が生み出す、“あたたかな居心地”をみなさんもぜひ体感してみてください。 cafe companio 営業時間 11:00〜17:00 (LO16:00) 休業日 毎週月・日曜日 WEB/SNS instagram ▷ @cafecompanio 場所 SCOP TOYAMA 創業支援センター1F チャレンジショップ
【Vol.05】創業ライブラリー ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~大島 健太郎さん ツリーコネクト 代表
【Vol.05】創業ライブラリー ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~大島 健太郎さん ツリーコネクト 代表
こんにちは!SCOP TOYAMA/創業応援プロジェクトBizHikeです。 創業応援プロジェクトBizHike(ビズハイク)は、創業を志し実践する人たちが、その道を「ひとりにならず、みんなで歩む」ことができる環境を提供すべく誕生しました。 ※BizHikeって何?という方はこちらをご覧ください 創業経験者のリアルストーリーを読める記事コンテンツ「創業ライブラリー」。出演してくださっている方は、自らもチャレンジの最中でありながら、その経験を惜しみなく「シェア」してくださる方々です。様々なストーリーに触れることで、視野を広げ、歩みを進める勇気を得られるようなコンテンツになればと願っています。 【BizHike】経験シェアコンテンツ!創業ライブラリー 関連記事を読む > 【Vol.05】創業ライブラリー ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~ 創業には、さまざまなカタチがあります。最も大切なことは、継続していくこと。 創業の最初の一歩目から現在まで、どのように事業を継続してきたのか。 県内の先輩創業者ひとりひとりの創業のカタチに触れていきましょう! 今回ご紹介するのは、砺波市を拠点に屋敷林整備など林業に取り組むツリーコネクト代表の大島健太郎さんです。 ・大島 健太郎(おおしま けんたろう)さん ツリーコネクト 代表 1999年富山県砺波市生まれ。 ツリーコネクトの代表を務める林業界の若手起業家。 林業、工事伐採、特殊伐採、高木剪定の事業を手がけ、散居村における屋敷林保全にも注力する。高所や難所における作業も手掛けるなど、高い技術力を誇る。 Q:現在のお仕事を始めたきっかけは? A:五感が刺激される魅力的な世界だから。 林業に携わることに興味を持ったのは、進路に悩んでいた高校3年生の頃でした。父がおすすめしてくれた映画『ウッドジョブ』を観て、林業の仕事を知りました。 担任の先生が紹介してくれた林業体験イベントに参加してみると、映画で見るよりも現場での作業の危険さを感じたものの、その他のギャップはポジティブなものばかりでした。 木を切る時の迫力や、山の香りや鳥のさえずりなど五感が刺激される自然環境が新鮮で魅力的に感じました。林業の業界に入る決意をし、高校卒業後に県内の木材会社に入社しました。 山の中で重機で丸太を切り出す、迫力のある場面。 Q:創業の一歩目を踏み出した時のことを教えてください。 A:地域の景観を守っていくことに貢献したい。 勤め始めてから2年が経った頃、母の実家が屋敷林(やしきりん※1)の整備に困っていると相談を受けました。散居村(さんきょそん※2)と呼ばれる地域の伝統的な家屋です。 散居村における屋敷林整備は山での伐採とは技術が全く異なり、より複雑です。20メートルもの高さの高木でありながら、周囲には障害物もたくさんあって難しい作業です。担い手も少なく、地域課題になりつつあります。 困っている家もたくさんあるだろうし、地元であるとなみ平野の美しい景観を守っていくためにも、自分の技術を磨いて屋敷林を整備する事業に取り組みたいと思うようになりました。 この出来事をきっかけに、休みの日に講習会を受けに行きながら少しずつ道具も買い揃えていき、資格を取って3年間勤めた会社を退職して創業しました。 母の実家の屋敷林整備 ビフォー(左)&アフター(右) 屋敷林(※1)・・・となみ平野の冬の冷たい季節風や吹雪、夏の日差しなどから家や人々の暮らしを守るために敷地の南西部にスギやヒノキなど背が高くなる樹種を植えている。別名「カイニョ」。 散居村(※2)・・・散居とは、家と家が離れて散在する集落の形態をさす言葉。散居村は家々が集まっている集村のこと。 Q:創業をする上で、大変だったことは?どうクリアしましたか? A:顧客獲得のために、とにかく営業大作戦! 仕事があればすぐに始められる状況ではありましたが、最初の壁はお客さんを獲得することでした。 当時はお客さんも特に見込みがなく、とにかく動いてみようという気持ちでした。不安でしたが、動かなければお金も入ってこないし生活もできないですからね。名刺を作って、屋敷林のある家に名刺を投げ込んだり、建設業、解体業、造園業者などに売り込んだり。最初の1ヶ月間はひたすら営業活動を行いました。 創業当初、車に最低限の道具をいつも常備していた。 Q:最初の販路をどのように見出しましたか? A:相手の課題を見出し、自身の強みでアプローチ。 最初のお客さんは、飛び込みで営業した造園屋さんでした。 従来は対応の困難な高木に対して、費用をかけて高所作業車を導入していたところを「僕であれば、身体ひとつで解決できます」とアプローチしました。 自分の強みを言語化して、相手の課題に寄り添った提案を意識していました。 レッカーや高所作業車が入らない中庭での吊り下ろし作業の様子 Q:事業を継続していく上で大切にしていることは? A:安全と、対話と、繋がり。 まず、1つ目に“安全第一”です。怪我や事故を起こしてしまっては元も子もありません。特に高所で作業をする時は、ロープに吊られた状態でノコギリやチェーンソーなどの道具を扱います。一つでも不備のないように道具を大切に扱い、コンディションには常に気を配っています。 2つ目は“コミュニケーション”です。屋敷林の仕事においては、山間部とは違って周囲の住民のみなさんへの挨拶や、チェーンソーやトラックの音の配慮が欠かせません。お客さん側がトラブルにならないように、円滑なコミュニケーションを意識しています。 3つ目は“繋がり”です。屋号を『ツリーコネクト』と名付けたように、僕は山と街と木と人といった、いろんな繋がりを木を通じて大事にしていきたいと思っています。 大きな企業に負けないような繋がりをつくっていくためにも、フットワークを軽く行動に移しています。もちろん、すぐに実行に移せるように技術を磨き続けることも大切ですね。 お気に入りの散居村を一望できるスポット、閑乗寺(かんじょうじ)公園展望台。 Q:これからどのような展開をしていきたいですか? A:林業の面白さを感じてもらいたい。 母校で林業での創業について講演 日々、林業の世界はまだまだ奥が深いと感じています。技術の向上はもちろんのこと、林業を知らない若い人たちに、新しさや面白さを感じてもらえるような機会や接点を増やしていきたいです。 最近はSNSを活用して日頃の作業の様子を発信しています。少しでも興味を持ってもらえるようなアクションをどのように起こしていこうか日々悩んでいますが、小さなことから試していこうと思います。 また、スタッフがモチベーションの高い状態で現場に集中できるように、他の作業時間をいかに効率化していくかということもアップデートしていきます。ツリーコネクトで働くスタッフにとっても、やりがいや楽しさを感じられるような企業として成長していきたいです。 県内の若者向けビジネスプランコンテストにもエントリーし、林業を知ってもらう機会づくりに積極的に参加。 Q:これから創業を目指すみなさんへのアドバイスをお願いします! A:信用を築き上げていこう。 資金的な心配がある方も多いと思いますが、最初はお金よりも信用を築き上げていくことのほうが大切だと思います。 少しずつ繋がりをつくり、確実な仕事で応えていく。そして普段から関わりのある人たちとの繋がりを大切にしていくことで、口コミなどで少しずつ繋がりが広がっていくと思います。 やりたいことのタネを見つけたら、まずは挑戦してみましょう!動いてみないと改善もできないですよね。失敗をしたとしても、挑戦したことに対して評価してくれたり応援してくれたりする人が必ずいますよ! 文:徳田琴絵(富山オタクことちゃん) =【編集後記】= “木を切る”といっても、さまざまなジャンルやスキルがあるのですね。林業の世界に触れることがあまりなかったので、初めて知ることばかりでワクワクしました。 まっすぐな眼差しで言葉を紡いでくれた大島さん。一言一句に、実行を重ねてきたからこその力強さを感じました。 まさに私も散居村に住んでいます。美しい景観は住んでいる人たちだけでなく、周りから支えてくれる想いのある人たちに守られているということを改めて感じました。 私自身も、胸を張って“人の想いありき”の散居景観の魅力を伝えていきたいです。 ツリーコネクト 〒939-1367 富山県砺波市広上町1-21 WEB:https://tree-connect.jp/
【Vol.04】創業ライブラリー ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~ひつじの 中村 千賀さん
【Vol.04】創業ライブラリー ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~ひつじの 中村 千賀さん
こんにちは!SCOP TOYAMA/創業応援プロジェクトBizHikeです。 創業応援プロジェクトBizHike(ビズハイク)は、創業を志し実践する人たちが、その道を「ひとりにならず、みんなで歩む」ことができる環境を提供すべく誕生しました。 ※BizHikeって何?という方はこちらをご覧ください 創業経験者のリアルストーリーを読める記事コンテンツ「創業ライブラリー」。出演してくださっている方は、自らもチャレンジの最中でありながら、その経験を惜しみなく「シェア」してくださる方々です。様々なストーリーに触れることで、視野を広げ、歩みを進める勇気を得られるようなコンテンツになればと願っています。 【BizHike】経験シェアコンテンツ!創業ライブラリー 関連記事を読む > 【Vol.04】創業ライブラリ ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~ 創業には、さまざまなカタチがあります。最も大切なことは、継続していくこと。 創業の最初の一歩目から現在まで、どのように事業を継続してきたのか。県内の先輩創業者ひとりひとりの創業のカタチに触れていきましょう! 今回ご紹介するのは、SCOP TOYAMAのチャレンジショップで手織りの毛織物のお店を出店されている中村 千賀さんです。 Q:現在のお仕事を始めたきっかけは? A:学生時代に「ひつじ」に出会ったことがきっかけでした 畜産大学でSHEEP CLUBというサークルに入った時に、ひつじの毛を扱う機会があり、その魅力に触れたことがきっかけです。昔から人間の暮らしを支えてきた動物で、毛を衣服や家具、道具などに使うほか、肉や乳製品としても利用されます。私自身はその中でも羊毛加工が特に気に入り、多面的に活用できる動物に興味を持ちました。 当初、私はひつじを育てる仕事に就きたいと考えていましたが、女性としては肉体労働がハードで、長期的に続けるのは難しいと判断しました。そこで、毛を扱う仕事に転向し、畜産大学卒業後は染色や織りの技術を磨くため、京都の織物の専門学校に入学しました。 「ひつじの」の店頭にある糸車。これで羊毛から糸を作ります Q:創業の一歩目を踏み出した時のことを教えてください。 A:SCOP TOYAMAの存在を知ったことがきっかけでした その後、作家として活動する道もありましたが、結婚した後は専業主婦として家庭を支えることを優先しました。 その間も、いつか「ひつじ」に関する仕事にすることを夢見ていました。たまに市民プラザなどでマフラーやストールなどを製作し、販売するなど、小さな活動をしていましたが、本格的に得意なことを仕事にしたいという思いが強まり、2022年には、SCOP TOYAMAという施設の存在を知ったことをきっかけに、動き始めました。 何かの教室を始めるなど、さまざまなビジネスモデルが考えられましたが、まずは「ひつじの魅力を知ってもらう」ということを目的に、手軽に楽しめる小物を製作し、販売することを決めました。 ワークショップでは糸を紡ぐ体験もできます。 Q:創業をする上で、大変だったことは?どうクリアしましたか? A:創業という事に馴染みがなく、全てが初めてのチャレンジでした 私は両親ともに公務員の家系で育ち、私自身も商売の経験は全くありませんでした。開業に伴う事務作業や手続き、販路開拓など全てが初めての連続で、創業前からネットで調べたりしながら、行政の相談窓口を活用して必要な手続きを進めたり、アドバイスを受けたりと一歩ずつ進めてきました。 また、手作りの作品を売るということを決めたものの、店頭に並べられるだけの商品を揃えるのも大変でした。実家に専用の織り機などの機材を備え、日々製作にあたっています。 「ひつじの」の店頭にある小型の織り機 Q:最初の販路をどのように見出しましたか? A:小さな場で商品を売るところからスタートしました 手作りのマフラーやストールなどを市民プラザの手作りイベントで販売したのが最初に商品を売った経験でした。SCOP TOYAMAでは、オープンのタイミングで取材をして頂いたりもしましたが、店舗としてはインスタグラムなどにもトライしながら、認知拡大のために日々頑張っています。 Q:事業を継続していく上で大切にしていることは? A:自分が楽しんで取り組むこと 事業を全て自分でやるというのは大変な部分もありますが、全て自分で決められるので「とても楽しい」と感じています。結婚式の演出などを自分で決めるのがとても楽しかったことを思い出しました笑 家族にも応援してもらえているので、この仕事をすることを楽しめている自分でいたいなと思っています。 自然素材を使った超小型織り機の試作品 Q:これからどのような展開をしていきたいですか? A:染色の技術を活かした色の表現と、贈り物としての商品展開 染色をすることが好きで、自分なりに色のこだわりがあります。ひつじの毛に染色して、オリジナルの配色を使った商品を作り、広めていきたいです。また、ひつじという自然なものを使った膝掛けやおくるみは、人を包み込む特別な温かさがあると思っています。ぜひギフトとして贈っていただけるような魅力のある商品を作っていきたいと考えています。 さまざまな体験も可能です Q:これから創業を目指すみなさんへのアドバイスをお願いします! A:自分がやりたいことを、言葉に出すこと/やりたいことを貯めておくこと アドバイスの一つ目は、言葉に出すことです。人に話すことで、自分の頭が整理されることもあり、実現に近づいていくと思います。 二つ目は、焦らずに、やりたいことを引き出しに少しずつ貯めていくことが大切だと思っています。 私の場合も、最初に「やりたいな」と思ってから、20年経っています。その間専門学校に行ったり、教えられる資格をとったり、興味のあること、好きなことを少しずつ貯めてきました。 そして、「いつかは使えるかな」と思っていたものを世に出すことができるチャンスが、急にやってきました。先に始めた人を見てすごいな、という気持ちも湧いてくることもあるかもしれないですが、時が来たら自分でもできるはず。自分の考えられる範囲で良いので、ぜひ焦らずに準備をしてみてほしいです。 =編集後記= お話を伺っていて、「ひつじの」は単に羊毛製品を扱う雑貨屋さんではなく、「ひつじ」の魅力を感じられる作品を通して「人を想う温かい心」にふれる場所なのだなと感じました。お店が空いている日は週に2回ですが、その他の日は大型の織り機で丁寧に作品作りをされている中村さん。 今後、どのような作品を作れば「使ってくれる人が喜んでくれるか」ということを日々考え、チャレンジショップでの事業に取り組まれています。ぜひSCOP TOYAMAにお越しの際は、「ひつじの」にお立ち寄りください! ひつじの 営業時間 水曜10:00〜15:00/土曜10:00〜17:00の週2回開店。 休業日 毎週月・火・木・金・日曜日 WEB/SNS https://hitsujino.jimdofree.com/ 場所 SCOP TOYAMA 創業支援センター1F チャレンジショップ
【Vol.03】創業ライブラリー ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~ フォトグラファー 大木 賢さん
【Vol.03】創業ライブラリー ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~ フォトグラファー 大木 賢さん
こんにちは!SCOP TOYAMA/創業応援プロジェクトBizHikeです。 創業応援プロジェクトBizHike(ビズハイク)は、創業を志し実践する人たちが、その道を「ひとりにならず、みんなで歩む」ことができる環境を提供すべく誕生しました。 ※BizHikeって何?という方はこちらをご覧ください 創業経験者のリアルストーリーを読める記事コンテンツ「創業ライブラリー」。出演してくださっている方は、自らもチャレンジの最中でありながら、その経験を惜しみなく「シェア」してくださる方々です。様々なストーリーに触れることで、視野を広げ、歩みを進める勇気を得られるようなコンテンツになればと願っています。 【BizHike】経験シェアコンテンツ!創業ライブラリー 関連記事を読む > 【Vol.03】創業ライブラリ ~先輩起業家に聴く!7QESTIONs~ 創業には、さまざまなカタチがあります。最も大切なことは、継続していくこと。 創業の最初の一歩目から現在まで、どのように事業を継続してきたのか。県内の先輩創業者ひとりひとりの創業のカタチに触れていきましょう! 今回ご紹介するのは、南砺市井波地域を拠点にフォトグラファーとしてご活躍中の大木さんです。 ・大木 賢(おおき けん)さん 大木賢写真事務所 1994年富山県生まれ。2017年金沢大学在学中に大木賢写真事務所を設立し、フリーランスフォトグラファーとして活動。2019年からは南砺市井波地域を拠点に、広告・雑誌撮影のほか、個人の日常風景も撮影する。2022年からは写真技術を活用したCGI(Computer Generated Imagery)制作や、XR(VR/AR)開発にも携わる。 Q:現在のお仕事を始めたきっかけは? A:写真を通して、大好きな富山の景色を伝えたいから。 幼い頃から、自分のお気に入りを写真に撮り収めてきました。僕にとって、もともとカメラはお気に入りのおもちゃでした。 小学生の頃は電車などの乗り物を撮影したり、中学生の頃は趣味のサイクリングで訪れた先で感動した景色を撮影してブログに掲載したりしていました。写真を見てくれた人たちから反響があることが嬉しくて、「もっと綺麗な写真を撮りたい」と思うようになりました。高校生で念願の一眼レフカメラを手に入れて、ますます写真の沼にハマっていきました。 僕はたくさんの富山の美しい景色を知っているのに、大学時代の富山や石川出身の友人たちが「北陸は何もない」と話す姿が悔しいと感じていました。写真を通して、僕が誇りに思う富山の景色をみんなに伝えたいという想いが大きかったですね。 大木さんが撮影したとなみ平野の景色 富山の風景を綴った特設ページもご覧ください Q:創業の一歩目を踏み出した時のことを教えてください。 A:2つの出会いが決意に繋がりました。 大学生時代に「自分のやりたいことでプロになろう」と決意した2つの出会いがあり、在学中に開業届を出してフォトグラファーになりました。 「なんとなくのアルバイトで自分の時間を売るよりも、自分が本当にやりたいことに時間を使いなさい」という恩師の言葉が印象的で、大好きな写真に時間を使い、写真を仕事にしていきたいと考えるようになりました。 そして大学在学中にスペインへ留学していた頃、あるイギリス人夫婦と出会いました。たまたま記念写真を撮ってあげたとき、会話の中で僕が「日本で写真を撮っていて、売ることもある」という話をすると、夫婦が「お金を貰って写真を撮っているなら、もう立派なプロだね」と言ってお金を渡してくれました。覚悟を決めてプロと名乗ろうと思えたきっかけとなりました。 1年間のスペイン留学 Q:創業をする上で、大変だったことは?どうクリアしましたか? A:行動力と周りの人たちの支えで進み続けた。 ご縁も仕事もない状態からの創業だったので、1年目の頃は新店舗オープンのチラシを見つけては飛び込みで営業に行っていました。業界のこともよくわからずに始めたので、今思うと怖いもの知らずですごいなと思いますね。学生という立場も活用して、「勉強中なので最初は無料でもいいから撮らせて欲しい」とまずは実績作りに励みました。 また、事務所を構える上での不安はもちろんありました。2019年に南砺市の井波地域を拠点に決めた当初、何よりも井波で既に活躍している先輩プレイヤーの方や、ご近所のみなさんが心強かったです。「まちに若者が来てくれた!」と喜んでもらえて、あたたかく迎え入れてくれました。自分の活動に共感して応援してくれる地域の人がいてくれるのは嬉しいです。 事務所開設は、自治体の支援制度にとても助けられました。井波は安い家賃で広い家を借りられるし、大きな商圏の金沢や富山からもそれぞれ1時間程でアクセスできる立地という部分が魅力でした。 井波のまちなかに建つ大木賢写真事務所 Q:最初の販路をどのように見出しましたか? A:仲間づくりのアイディアから繋がったお仕事。 最初のお客さんは、僕が開催していた写真教室からご縁が生まれました。僕は独学で写真の師匠もいません。一人が寂しいので、写真仲間を作るために教室をやってみようと考えました。たまたまご縁があってワークショップに参加してくれていた県内の有名なものづくり企業さんが、僕の作品を見て「工場を撮って欲しい」と依頼をくれました。 ワークショップの様子(写真は2年前のもの) Q:事業を継続していく上で大切にしていることは? A:地域との交わり。 一番は地域を大切にしたいです。創業の源泉は郷土愛なので。 せっかく井波を拠点にしているので、井波でしかできないことをやりたいといつも考えています。 バーチャル井波 近年は井波の彫刻家さんとコラボレーションをしてVR上に井波のまちを再現する『バーチャル井波』を開発しています。美術館をはじめとする各店舗では、職人さんの作品が3Dでアーカイブされています。 佛師/木彫刻師の石原良定さんの作品を3DCGモデリング これまでの井波のまちも、ずっと実験的なまちだったのだと思います。県外から職人さんが集まり、お客さんとの対話を重ねて、より良いものづくりを続けてきました。 自分の価値観を押し付けるのではなくて、コミュニケーションを交わしながら、写真やCGのような次世代の写真に代わるものを作っていきたいと思っています。 Q:これからどのような展開をしていきたいですか? A:人間味が感じられる仕事を続けていきたい。 AI技術の発達がものすごいスピードで進化している中でも、相手と空気感を共有していくような、人とのコミュニケーションの上で成り立つものづくりをしていきたいです。 もう綺麗な写真は誰でも撮れるようになるかもしれませんよね。ただ依頼された写真を綺麗に撮るだけではなく、フォトグラファー視点での提案などのコミュニケーションも含めて自分たちの価値を提供していきたいです。 あたたかみを感じられる大木さんの作品たち Q:これから創業を目指すみなさんへのアドバイスをお願いします! A:ワクワクする方向へ変化し続けていこう。 自分が好きなことをやっていれば、共感して応援してくれる人は絶対出てきます。 自分の本気度は自分にしかわからないですよね。うまくいくかも始めてみないとわからないです。一歩踏み出してみればどんどん進んでいきますし、不安に感じるようなことがあれば、戻ってみることも必要だと思います。継続していくための変化を続けていくことも大切だと思っています。 ワクワクする方向へ進んでいけば、失敗しても人生後悔しないと思います。 大木賢写真事務所 〒932-0217 富山県南砺市本町3-28-1 WEB:https://kenohki.jp/ 文:徳田琴絵(富山オタクことちゃん)
先輩創業者に聴く!【創業ライブラリー】〜vol.2 朔(さく)道林亜子さん
先輩創業者に聴く!【創業ライブラリー】〜vol.2 朔(さく)道林亜子さん
こんにちは!SCOP TOYAMA/創業応援プロジェクトBizHikeナビゲーターの田中です。 創業応援プロジェクトBizHike(ビズハイク)は、創業を志し実践する人たちが、その道を「ひとりにならず、みんなで歩む」ことができる環境を提供すべく誕生しました。 ※BizHikeって何?という方はこちらをご覧ください 創業経験者のリアルストーリーを読める記事コンテンツ「創業ライブラリー」。出演してくださっている方は、自らもチャレンジの最中でありながら、その経験を惜しみなく「シェア」してくださる方々です。様々なストーリーに触れることで、視野を広げ、歩みを進める勇気を得られるようなコンテンツになればと願っています。 【BizHike】経験シェアコンテンツ!創業ライブラリー 関連記事を読む > 創業には、さまざまなカタチがあります。最も大切なことは、継続していくこと。 創業の最初の一歩目から現在まで、どのように事業を継続してきたのか。県内の先輩創業者ひとりひとりの創業のカタチに触れていきましょう! 今回ご紹介するのは、SCOP TOYAMA1号店としてチャレンジショップで開業を果たされた朔(さく)の道林亜子さんです。 道林 亜子(みちばやし あこ)さん 植物療法とSOLチョコレートのお店 朔(さく)オーナー。富山県出身、事務職の会社員を経て、植物療法を学び「いつか人を癒す仕事をしたい」と志す。友人でもあった創業パートナーからの声がけでSCOP TOYAMA の存在や、チャレンジショップの募集があることを知り創業を決意。「SCOP TOYAMAの保健室でありたい」という想いのもと、植物療法の知見を取り入れたワークショップやハーブティー、お菓子などを提供し、多くの人の健康に貢献することを目指す。 Q:現在のお仕事を始めたきっかけは? A:人生の転機を迎えたタイミングで、流れがやってきたから。 長年事務職として会社員を続けていましたが、「このままでいいのかな」「自分で何かをやってみたいな」とは常々考えていました。 親の介護を経験したことで「人が健康でいられること」に貢献したいという思いが強くなり、植物療法を勉強し始めました。 もともとは植物療法の知識を生かせる会社に転職を予定していて、勤めていた会社に退職を伝えた後、その転職の話がなくなるという出来事がありました。そのまま退職せず、勤め続けるという事も会社は許してくれていたのですが、自分の中では「何があるかわからないけど、前に進む」ということを決めていました。 ずっと家族や会社のために働き続けた人生でしたが、初めてできた自分の時間でより学びを深め、自分と向き合うことができたのは貴重な経験でした。失業保険をもらいながら、先も決まっていない状態ではありましたが、不思議と不安な気持ちはありませんでした。 朔の店頭に並ぶお菓子。全て自然な味が生きていて、ハーブティーとよく合います。 Q:創業の一歩目を踏み出した時のことを教えてください。 A:背中を押される出来事が重なりました。。 これからどうしようかな、と漠然と考えていた時、今一緒にお店をやっている創業パートナーから「SCOP TOYAMAという施設ができる」ということと、「チャレンジを応援するために格安な賃料で出店者を募集するらしい」という情報を聞きました。 私自身は事業も店舗経験も未経験でしたが、飲食店の実務経験をもつパートナーに背中を押されたこともあり、応募することを決めました。 審査に通ることは難しいだろう、と思っていましたが、まさかの通過。出店が決まった時は、パートナーと向き合い、「本当にいいよね」「頑張れるよね」と確認しあったことを覚えています。 50代の女性2名でのチャレンジは、それなりに不安なこともありましたが、2人で「譲れないことは何か」「叶えたいことは何か」などを長い時間をかけて話し合い、最終的に2人で開業することを決めました。 朔で出されているハーブティーのオリジナルブレンド。喉の不調を訴えられるお客様が多かったことを受けて作られた調合。エルダーフラワー、タイム、ネトル、マロウブルー、リコリス、ローズマリーなど複数のハーブが優しく香ります。 Q:創業をする上で、大変だったことは?どうクリアしましたか? A:事業を続けるための知識も、覚悟も足りないと感じたこと。毎日実践を積み重ねながら一歩ずつクリア。 流れが来て、背中を押され、覚悟を決めて始めたのは良いものの、事業や店舗運営に関しては完全に素人。事業計画のようなものも特段定めずにスタートし、毎日壁にぶつかっては「どうしよう?」と考えることが続きました。 そうなると、店舗経営の経験がある創業パートナーに頼ってしまい、いつしか彼女になんでも確認して進めようとする自分に気がつきました。会社員として長く勤めてきた私にとっては、「答えがない中で、自分で考えて、自分の意思で決定する」という経験が大きく不足しているのだな、と改めて自覚しました。 そんな私に、彼女はいつも「あなたがオーナーなんだから、自分で考えて決めなさい」と叱咤激励してくれました。今でこそ、その通りだと思えるのですが、当初はわからないことだらけで本当に不安でいっぱいでした。 メニューの内容はどうするか?名前は?金額は? ラッピングはどんな材料を使ってどんな風にする?・・・? とにかく自分で考え、決めなければいけない事ばかりでしたが、壁にぶつかるたびに調べ、一つずつ乗り越えて、無事オープンを迎えることができました。開店後も考え続け、「このお店で何を提供していくべきか」「そのために何をしたら良いのか」などについても、試行錯誤することが自然になってきた気がします。 オリジナリティーあふれる朔のハーブティーメニュー。毎回、どれにしようかと迷ってしまいます。 Q:最初の販路をどのように見出しましたか? A:SCOP TOYAMAという環境に、助けられています。 お店を開けた途端に、マスコミの方が来てくださって、取材をしてくれたり新聞に載せてくれたりということがありました。これはSCOP TOYAMA という環境に助けられているおかげであり、本当に感謝しています。 そんな中、最初に来てくれたお客様は和ハーブの勉強をしておられる女性で、お茶とワークショップを試してくださいました。自分もいつか、資格をとって仕事にしていきたいと語っていかれたので、ハーブがつないでくれたご縁を頂けたことがとても嬉しかったです。 前職の会社の方も来てくれたりして、新しいチャレンジを応援していただけることはとても嬉しく、励みになります。 体調に合わせ、オリジナルのケアオイルをブレンドできるワークショップ。「ひえひえケア」と名付けられたオイルで指先をマッサージするとポカポカに。 Q:事業を継続していく上で大切にしていることは? A:SCOP TOYAMAを卒業する日を常に視野に入れ、毎日を積み重ねていくこと。 SCOP TOYAMAでのチャレンジができるのは3年間。2022年12月にオープンし、 無我夢中でやってきましたが、ここから先のことも考えていかなければいけません。 現在も植物療法士としての学びも継続しているところなのですが、さらに上級の資格が取れたら提供できる事も増えるので、サービスのメニューも拡充していきたいと考えています。 この環境にいられる間に、様々なことに挑戦しながら、「朔だからこそ提供できる価値」を生み出して行きたいです。 お茶を飲み、話をしながらゆったりとした時間を過ごせます。 Q:これからどのような展開をしていきたいですか? A:公園など、自然を感じられる環境を生かし、多くの人の「健康」に貢献していきたい 今はハーブティーやお菓子、体調に合わせたオイルを調合するワークショップなどを提供していますが、いずれ施術も行っていきたい。その時には、ぜひSCOP TOYAMAの隣にある馬場記念公園などに足を運び、自然の力を借りながらお客様を癒せるようなサービスを作れないかと考えています。 SCOP TOYAMAという施設には、チャレンジする人がたくさん集まっています。そこに足を運んでくださる全ての人たちの「保健室」のような存在でもありたいと思っていますので、ぜひ気軽に朔へお立ち寄り頂けたら嬉しいです。 SCOP TOYAMAの横に広がる、自然豊かな馬場記念公園。(秋の景色) Q:これから創業を目指すみなさんへのアドバイスをお願いします! A:「流れが来たら、迷わずに乗る!」というのが、とても大切。 「準備が整ってから」と考えていたとしたら、私はまだ何年もスタートを切れていなかったと思います。始まってみたら、どんなに準備をしても、悩むことはある。であれば、最初の一歩を踏み出すことが何より大切だと思っています。 2022年の4月頃、新しい挑戦をするかどうかを息子に相談がてら食事に行きました。長年会社に勤めながら、シングルマザーとして育ててきた息子も自立し、背中を押してくれたのも嬉しかったのですが、お店を出た時に、今まで見たこともないような桜吹雪が舞ったのです。 その時に、何かの祝福を受けているような、自然からのメッセージのような気がして「やれるかも!」と根拠のない自信が湧きました。 その時はまだSCOP TOYAMAでの開業も何も決まっていなかったのですが、その年の11月にはもう朔をオープンしているのですから、本当に不思議です。 もともと仕事に対してコンプレックスが強いタイプでしたが、そんな私でも一歩を踏み出すことができました。 「何歳でも、どんな人でもチャレンジできる。自分にしかわからないようなサインも、見逃さずに前に進めばきっと何かを掴めるので大丈夫!」ということを、私自身のチャレンジを通してお伝えできたら嬉しいです。 朔のハーブティーとお菓子、道林さんとの何気ない会話がSCOP TOYAMAを訪れる人を癒しています。
先輩創業者に聴く!【創業ライブラリー】〜vol.1 株式会社IMATO 東海勝久さん
先輩創業者に聴く!【創業ライブラリー】〜vol.1 株式会社IMATO 東海勝久さん
こんにちは!SCOP TOYAMA/創業応援プロジェクトBizHikeナビゲーターの田中です。 創業応援プロジェクトBizHike(ビズハイク)は、創業を志し実践する人たちが、その道を「ひとりにならず、みんなで歩む」ことができる環境を提供すべく誕生しました。 ※BizHikeって何?という方はこちらをご覧ください 創業経験者のリアルストーリーを読める記事コンテンツ「創業ライブラリー」。出演してくださっている方は、自らもチャレンジの最中でありながら、その経験を惜しみなく「シェア」してくださる方々です。様々なストーリーに触れることで、視野を広げ、歩みを進める勇気を得られるようなコンテンツになればと願っています。 【BizHike】経験シェアコンテンツ!創業ライブラリー 関連記事を読む > 創業には、さまざまなカタチがあります。最も大切なことは、継続していくこと。 創業の最初の一歩目から現在まで、どのように事業を継続してきたのか。県内の先輩創業者ひとりひとりの創業のカタチに触れていきましょう! 今回ご紹介するのは、射水市で鮮魚干物の販売や観光船を運営する株式会社IMATO 代表取締役の東海さんです。 東海 勝久(とうかい かつひさ)さん 株式会社IMATO/東海水産 代表 富山県氷見市出身。漁師として29歳で独立。漁業者・魚屋・水産加工業・海上観光事業を営む株式会社IMATOを2018年に創業。富山湾の新鮮な魚を中心に鮮魚販売と水産加工品などを製造・販売。 Q:現在のお仕事を始めたきっかけは? A:やりがいと居心地の良さを感じたから。 やりたいことも目標も無かった20歳の頃、知人の紹介でなんとなく漁師の仕事を地元氷見市で始めました。想像以上に漁師の仕事が面白く、やりがいを感じられる居場所だと思えました。一度漁業を離れて他の職業を経験したこともありましたが、やっぱり漁業の世界が居心地が良く、現在拠点にしている新湊で漁師の仕事を再開しました。 Q:創業の一歩目を踏み出した時のことを教えてください。 A:“好き”で事業を興したい!という気持ちが後押ししてくれました。 大好きな漁業にまつわる仕事で事業を興したいと考えるようになり、29歳のときに「東海水産」を創業しました。当時は富山湾で何十年ぶりの新規漁業者として新聞に掲載されるなど、話題になりました。 その後、事業基盤を安定させるために観光船事業や水産加工品の製造を始めようと考え、2018年に株式会社IMATOを立ち上げ、翌年にIMATOの店舗をオープンしました。 IMATOの店舗の様子 「作り手が見える食材を手に取りたい」「自分で魚を捌けるようになりたい」「日持ちする安心安全な魚を食べたい」という地域の人たちのニーズに応えていくうちに、料理教室や独自の技術で製造する干物の販売を始めることになりました。 料理教室の様子 Q:創業をする上で、大変だったことは?どうクリアしましたか? A:創業の権利すら得られなかったこと。先人の力強い後押しが支えてくれました。 漁師として独立しようとした時、新参者だったので漁業権の取得にとても苦労しました。当時の新湊漁協の組合長が「未来の漁業者を育てるためにも、東海の力になろう」と助けてくれたおかげで、なんとか漁業権を取得することができました。組合長には、日頃から自分が漁業を通して叶えたいことやアイディアを熱心に伝えていました。話を面白がってくれて力強く後押しをしてくれました。とても感謝しています。 東海さんは水揚げされる魚が大好き Q:最初の販路をどのように見出しましたか? A:手札の中で新たな価値を見出す努力が実りました。 図書館や本屋で漁業にまつわる書籍をたくさん読んで学び、手札の中で挑む努力をしました。最初に与えられた漁場は、当時の新湊では値が付きにくい魚ばかりが採れる場所でした。しかし、がっかりするのではなく採れる魚をどう売っていくかを考えました。文献で情報を集めていると、地域によって取引価格が変わる魚があることがわかり、自分の網でよく採れるカレイに着目しました。仲買人にどうすれば他の地域でも売れるのかを尋ねると「生きたままのいいものを持ってきて」と話してくれたので、傷のないものだけを水槽に入れて持っていきました。新湊の何倍もの値で取引できるようになりました。 Q:事業を継続していく上で大切にしていることは? A:若手の見本になる“本物の仕事”をすること。 新鮮でいいものだけを売ることにこだわり、弱っている魚や傷のある魚は必ず省いて売りに出しています。これを続けていくうちに、周りからの評判も上がって取引が増えていきました。カレイは一枚80,000円の値が付くこともありました。2012年からはカレイのブランド化を目指して「万葉かれい®」と名付け、商標登録をしました。徐々に若手の漁師たちもカレイ漁をやりたいと言うようになり、ノウハウを共有して共に研究会を立ち上げ、万葉かれい®の発信を始めました。私にチャンスを与えてくれた組合長のように、若手の見本になれるような仕事をしようと心掛けています。 贈り物にも人気のIMATOの商品 Q:これからどのような展開をしていきたいですか? A:地域への恩返し。 高岡市・氷見市・射水市に点在する観光価値を繋げられるような取り組みや、若手の事業者さんが集まれるような場づくりを仕掛けていきたいです。現在行っている観光船事業も、連携する地域を広げていきます。私を育ててくれた地域に恩返しをしながら、次の世代の人たちを育てていきたいです。 観光船に乗って射水市の名所“東橋(あずまばし)”へ Q:これから創業を目指すみなさんへのアドバイスをお願いします! A:「やってみたい」を実行しよう! 面白いと思ったことにどんどん取り組んでほしいです。本当に好きなことであれば、辛いことがあったとしても我慢ができるし、長続きできます。継続していれば成功体験が訪れると思っています。始めることには早いも遅いも関係ないと思うので、もしやってみたいことを実行できていないのであれば、今からでも始めてみましょう。 「日本のベニス」と呼ばれる美しい内川の景観 株式会社IMATO 〒934-0011 富山県射水市本町3丁目1-6 TEL:0766-82-2226 WEB:https://imato.jp/ ライター徳田琴絵(富山オタクことちゃん) 生まれも育ちも富山。富山が大好きすぎる、自称「富山オタク」。富山市内のインキュベーション施設HATCHのコミュニケーターを担当。フリーランスとして、執筆やファシリテーション、イベント企画を通して富山の魅力を発信している。
【BizHike】創業経験シェアコンテンツ!創業ライブラリー
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こんにちは!SCOP TOYAMA/創業応援プロジェクトBizHikeナビゲーターの田中です。 創業応援プロジェクトBizHike(ビズハイク)は、創業を志し実践する人たちが、その道を「ひとりにならず、みんなで歩む」ことができる環境を提供すべく誕生しました。 ※BizHikeって何?という方はこちらをご覧ください BizHikeでは、様々なイベントや個別相談なども実施しますが、読み物として楽しんでいただけるコンテンツも発信します! その名も「創業ライブラリー」。 実際に創業をされた方にお話を伺い、共通の質問を投げかけるインタビューコンテンツです。そのストーリーの中には、「人それぞれ」の部分もあれば、立場は違えど「皆に通ずるもの」もあったりもします。様々なお話を通じ、読んでくださる方のヒントになるものが何か提供できたらと願い、連載企画としてスタートいたします! どんなインタビュー内容なの? インタビューを受けてくださる方には、創業をした当時のことを振り返っていただき、以下のお話を伺います。 ①現在のお仕事を始めたきっかけは? ②創業の一歩目を踏み出した時のことを教えてください。 ③創業をする上で、大変だったことは?どうクリアしましたか? ④最初の販路をどのように見出しましたか? ⑤事業を継続していく上で大切にしていることは? ⑥これからどのような展開をしていきたいですか? ⑦これから創業を目指すみなさんへのアドバイスをお願いします! 登場してくださる方も、創業事業に取り組んでいる真っ最中。ご自身も日々チャレンジをされている中で、リアルなお話をシェアすることの意義に共感してくださった方に、ご協力をいただいています。(感謝!) 創業間もない方であっても、さらにその手前にいる方から見たら、創業の道の先を進む人。事業の年数や経験を問わず、多くの「創業ストーリー」を共有していただき、お伝えすることで、読んでくださる方に何かの気づきを得ていただけたら嬉しいです。 創業ライブラリーはどこで読めるの? 創業ライブラリーは、SCOP TOYAMAの公式サイト「トピックス一覧」の中でご覧いただけます。 1月下旬からシリーズとしてスタートしますので、ぜひご覧ください!